報告が前後しますが、7月4日(土)に大阪市中央公会堂で、大阪教組教研全体会が開催されました。
基調報告では、子どもの権利条約には「生きる権利・育つ権利・守られる権利・参加する権利」が規定されていることを述べられながら、今の日本の子どもたちの状況はどうなのか、を述べられました。「貧困」の問題が子どもの生活、教育、そして子ども自身に深刻な影響を及ぼしています。経済格差が拡大する中で、保護者も子どもも追い詰められているわけです。子どもの「すこやかな成長に必要な生活を送る権利」を保証するために何ができるかを、保護者・地域とともに考えていきましょう、と述べられ、大阪の教育を「継承・創造」するために、大阪教組教研のテーマである「であい・学び・つながり」を大切にした実践が求められていると教研活動の重要性を強調されました。
そして、森永卓郎さん(獨協大学教授・経済アナリスト)が、「弱肉強食社会に教育はどう立ち向かうのか」という内容で講演されました。
マーガレット・サッチャーが、1979年に進めた新自由主義がどんなものであったか、を詳しく述べられました。構造改革で小さな政府にするために、規制緩和・社会保障費の切り下げ・高所得者減税(低所得者増税)などがすすめられ、アメリカと日本がその考え方を取り入れたわけです。中曽根首相によって一部実施され、小泉首相によって徹底して行なわれたことが、今の日本の「貧困」状況を生み出してしまった、と私は思っています。
森永さんは、「人間が人間でなくなることが一番いやなこと」と言われました。新自由主義では、労働者は、商品とみなされています。取替え可能な部品としての扱いです。また、戦争も祖父のお話からそうであったと言うことも話されました。
教育においても、「自分さえ良ければいい」という考え方であらゆる差別が横行しているのが今までの教育改革であり、本来の教育現場でつけなければならない力をつけることができなくなっている、と述べられました。
本来の力とは…自ら課題をみつけて、自ら問題を解決する基本な力であり、自分で立ちあがれる子どもを育てることが教育に求められているのです。自分のことだけでなく、みんなのことを考える、社会はそのためにあるのだと、90分をきっちり使われて力の入った講演に、TVのコメンテーターとしてのコメントより、私の中にストンときました。

この日の午前中は、第5回 大阪発 保育・子育てを考える集い ~わたし再発見~(主催 子ども情報研究センター・自治労大阪府本部)に参加し、「子ども虐待における貧困問題」と題して、日本子ども家庭総合研究所の山本恒雄さんの講演も聴いていたので、「子どもの貧困」についての知識も入っていました。余計に、教研全体会での話をより理解できたような気がします。
「子ども虐待」の背景に存在する「貧困」問題、生活保護母子加算の廃止や就学援助の見直しなど、新自由主義政策の蔓延や経済危機の中で「子どもの貧困」は深刻化しています。同じ新自由主義政策をとっていたイギリスでさえ、再分配後所得では子どもの貧困率はずっと下がり、それだけ子ども支援の制度が用意されていて、日本だけが子どもの貧困率が再分配後所得のほうが高くなっています。わたしたちは、もっと「貧困」の問題に向き合っていかなければならないとつくづく思いました。


大阪教組教研全体会の後は、高槻現代劇場へ。
大阪・憲法ミュージカル2009実行委員会主催による市民100人ミュージカル「ムツゴロウラプソディ」を観にいきました。
昨年にも市民100人ミュージカルが上演されたのですが、「ロラ・マシン物語」(いわゆる「従軍慰安婦」問題を扱った)観劇の機会がなく、今年は、友人の息子さんが主役のムツゴロウ役をするというのもあって、うまく時間をつくることができました。そしたらもう一人知人が出演されていて、なんとなくうれしかったです
有明・諫早の問題は10年以上前から続いているわけですが、「地球はヒトのモノではない、ヒトは地球のモノ」という言葉がいいですね。
皆さんとっても楽しそうに演じられていて、素敵でした