1980年放送のドラマですが、ナレーションを渥美清が務めております。
渥美節とでも言いましょうか、独特の名調子。
そして当時の渥美清と云えば、車寅次郎。
ご存知、映画「男はつらいよ」
多芸な方でしたが最終的には寅さんというハマり役に殉じたわけで、これはご本人の体調の問題もありましょう。
加えて「男はつらいよ」と云えば、山田洋次監督。
しかし、山田洋次と云えば「男はつらいよ」…とは云いきれないのが、この方の凄さでありまして。
普通突出した大ヒット作を生み出した監督はその成功経験に捕らわれて新たなるヒットが生み出せず葛藤するわけですが、山田洋次の場合は寅さんを作りながら「幸せの黄色いハンカチ」や「学校」シリーズをヒットさせたり「砂の器」の脚本書いたり、寅さん以降も時代劇撮ったり「釣りバカ日記」で脚本に参加したり新派の舞台脚本書いたりと、とんでもないクリエイターであります。
ドラマでも東芝日曜劇場でもいくつか脚本を手掛けており、中でも1978年放送「放蕩かっぽれ節」が凄まじい。
落語「らくだ」をベースにこしらえたドラマで、屑屋ではなく徳三郎(渥美清)が登場し、丁目の半次(若山富三郎)とのやり取りが可笑しくも哀しい。
山田洋次とも親交の深い五代目柳家小さんも出演で豪華。
ラストが悲惨で余韻を残す。
このあたり山田洋次の怖さでありまして。
役者揃いですが一番印象的なのは死体(らくだ)役の犬塚弘で、(かんかんのうではなく)かっぽれを踊らされたりする姿が素晴らしい。
TBSチャンネルで、年に1、2回やってます。
で、山田洋次ですが、「家族はつらいよ」シリーズを続けるのかと思いきや、また「男はつらいよ」を撮るらしいってんだから何だかわからない。
主演は渥美清ながら主に満男(吉岡秀隆)の成長のプロセスを凝縮するという試みらしく、想像がつかない。
山田洋次の創作欲は衰える事を知りません。
もうすぐ87歳なのに…