Cinemanian -35ページ目

『素晴らしき放浪者』


*終了しました*


■上映作品■

『素晴らしき放浪者』 BOUDU SAUVE DEX EAUX

1932年/フランス/85分/モノクロ/35mm
STAFF & CAST
【監督・脚本・脚色・台詞】ジャン・ルノワール
【出演】ミシェル・シモン、シャルル・グランヴァル、
    セヴリーヌ・レルシンスカ、ジャック・ベッケル 他

可愛がってた犬もいなくなり、「人生はくだらん」、とセーヌ河に飛び込んだ浮浪者ブデュ。それをたまたま見ていたブルジョワ知識人のいい人、レスタンゴワ氏は、河に飛び込みブデュを救出、自分の家に居候させることに。でも100%浮浪者のブデュは、ネクタイを見て「何で布なんか首に巻くんだ?」ともっともな疑問を投げかけてきたり、ブルジョワ階級のモラルなんて完全無視のやりたい放題。助けられた恩など微塵も感じないまま、くだらない悪ふざけを連発。メイドに手を出し奥さんを押し倒し、レスタンゴワ家をぐちゃぐちゃにかき乱して・・・。
映画史上最高にアナーキーで、とんでもなく伸びやかなジャン・ルノワールの傑作中の傑作。
ブデュの貫くシンプルなオレ道は、70年の時を経てもわたしたちの憧れ。
ブデュになりたい!

■日時■
11月4日(土) OPEN 17:30 START 18:00
※定員先着順39名様

■会場■
アウラ スクリーニング ルーム 
東京都港区南青山3丁目14-17-B1-B
東京メトロ表参道駅A4出口徒歩3分

■料金■
当日2000円のみ(おみやげ付き)

■コラボレーション■
フランスRouen経由、今は神戸でお菓子な毎日を送っているお菓子作家
pet de nonne(ペ・ドゥ・ノンヌ)が、本作をイメージしたお菓子を、
笑顔が似合う素敵なDJ,HATTRICK RECORDSの松川哲也くんが本作をイメージしたBGMを届けてくれます。

pet de nonne HP http://www.hattrick-records.com/petdenonne/
hattrick HP 
http://www.hattrick-records.com/

Cinemanianって?





時代やジャンルにこだわらず、面白いと思う作品を上映します。
映画以外で面白いことをしてる人たちとコラボレイトしたりして、Cinemanianなりの、開けっ広げでnotonlyシネフィルな上映会を目指しています。
ただいま第2回目の妄想を実現するため、地味に計画を立てたり、立て直したり、相談したり、悩んだりしてます。
あまりいろんな映画が公開されない土地でも、いい映画がどんどん上映されるようにしたい、そのため
にCinemanianとして何かしたいと思ってます。


*Cinemanianってゆのは、シネマのマニアという意味ではなくて、単に言いやすく簡単なのでそうしてみただけなのです。

渋く、薄汚れ

渋く、薄汚れ

大型本屋に行ったらたいてい映画本のところを見てみるんだけど、この前フラついてたら装丁がとてもかっこいい本を発見。どこが出してんだろ?って手に取ってみると、やっぱりフィルムアート社でした。

いい仕事してるよなあ、この会社。
それは滝本誠の『渋く、薄汚れ。ノワール・ジャンルの快楽』という本だったんだけど,最初のジーン・ティアニーの写真からしてかっこいい。ぞくっとくるようなクール・ビューティー。
<ノワール>をテーマに新旧の映画や、それにまつわるあれこれが書いてあるんだけど、すごく面白かった。
もちろんどの映画でもそうだけど、たぶんフィルム・ノワールって特に脚本がよくできたものじゃないと乗れないものだと思う。気の利いたセリフであるとか、巧妙に張り巡らされた伏線だとか、味のある登場人物とか、ラストのオチだとか、そういうものが上手く入ったものじゃないと、観た後に「うっわ、かっこいい」ってならないと思う。…そう考えると、案外ラブコメとの共通点は多いんじゃないのか?とラブコメ好きのわたしは今ふと思いました。どちらも上映時間は短めが望ましいし。…それはそれで置いといて。


この本を会社の通勤中に読んでたんだけど、おもしろすぎて会社がある駅に着いたときはほんきで「チッ」って舌打ちしてたくらいです。


特にコーエン兄弟のくだりが面白かった。
『ブラッド・シンプル』『赤ちゃん泥棒』『ミラーズ・クロッシング』『バートン・フィンク』『未来は今』『ファーゴ』『ビック・リボウスキ』『オー!ブラザー』『バーバー』『レディ・キラーズ』と作品を振り返ると(なんて素敵なフィルモグラフィー)、ノワールが彼らの原点だってことが分かる。一本筋が通ってる。よく言われてたことなんだろうけど、この本を読んで初めて自分の頭の中できれいに合点がいきました。コーエン兄弟は超がつくノワール・マニア。“『ブラッド・シンプル』はハリウッドの映画世界にコアなノワールを今日的に復活、再興させたという意味できわめて重要なのである”。そうか、そうか。
ノワール・マニアのコーエン兄弟が“映画的な語りの巧さがそのまま犯罪の騙りの上手さに結びつく、イギリス映画の古典『マダムと泥棒』”をリメイクしたのが、『レディ・キラーズ』だと思って観ると、コーエン兄弟の底意地の悪い過ぎたジョークに気付くことができて、違った楽しみ方ができそうです。でもやっぱりオリジナルは超えられてなかったらしいけど。2001年のカンヌは、『バーバー』のコーエン兄弟と『マルホランド・ドライブ』のリンチが最優秀監督賞をダブル受賞したってことで、ノワールファンには特別なんだって。


『ヴィドック』のヴィドックは世界で初めて探偵事務所を開いた男だってことも知らなかったし、監督のピトフはジュネ&キャロ組出身で、『ヴィドック』にもそのスタッフが多く参加してるってことを知って見たくなったし、『ゲット・ショーティー』のトラボルタ並にギャンブル気分?で映画作りに乗り出したギャングがいたってことも(『拳銃魔』って作品を作ったらしい)へーと思ったし、映画好きにはかなり楽しい本なんでほんとうにお薦め。


あと「ノワールものには“底辺の思想”が…」みたいな箇所があって、そこがやたらと記憶に残ってます。

だから好きなのかも。
だったらピーズ好きの人とか、ブコウスキー好きの人とか、フィルム・ノワールにはまる人がいるんじゃないのか?と思うけど、どうなんだろう?