アマオケの名門新日本交響楽団の定期公演に、大学院で研鑽中の指揮者とソリストが客演した瑞々しい演奏を聴いて、爽やかな感銘を受けました。
演目はこのチラシの通りで、19世紀国民楽派3人の曲で編まれたプログラムです。
前半二曲は私が大好きな曲、後半はちゃんと聴くのか初めての曲です。
初めの「ルスランとリュドミラ」序曲は、指揮の吉崎さんが若々しく活きの良い弾けるような演奏をしてくれるものと期待したのですが、それとは裏腹の、大人しく整えた卒業演奏みたいな行き方で、ちょっと残念。
2曲目は、吉崎さんと芸大同期の戸澤さん独奏によるシベリウス。
こちらは独奏・伴奏共に期待に違わぬ充実した演奏を聴かせて貰えました。
暗い炎のようなオケの開始とそれに続く独奏ヴァイオリンの入り、いずれも音色と表情付けが素晴らしく、一気に惹き込まれました。
戸澤さんのヴァイオリンは、艶やかで豊かな音に闊達な技巧を併せ持ち、シベリウスがこの曲に込めた情念を余すところなく音にしてくれます。
伴奏する吉崎さんも、指揮する様子は前曲と変わらないのに、より積極的でうねりの変化に富んだ曲造りに変わっていました。
各楽章いずれも聴き応えする、素晴らしい演奏でした。
鳴り止まない拍手に応えてのソリスト・アンコールは、シベリウスの小品を予想したのですが、定番のバッハ。
無伴奏ソナタ第3番のラルゴ。
それにしても、どうしてバッハ作品はこうも心打つのでしょうか⁉️
演目最後は、ドヴォルザークの交響曲第7番。
第3楽章の主題だけ聞き覚えがある以外これまで聞き通したことがなかった曲です。
プログラム冊子によれば、ブラームスの第3番から刺激を受けて完成された・・・とありますが、今日初めて聴いた限り、私には第2番との相似性が強く感じられました。
この7番、随所に魅力的な旋律が現れ、吉崎さんと新日本交響楽団の力演もあったものの、曲全体としては、8番や9番の魅力に比べイマイチと言わざるを得ない作品です。
アンコールは、スラブ舞曲作品72の2。
ドヴォルザークの締めくくりにふさわしい選曲と演奏でした。
奇しくも指揮者とソリストが共に大学院で学ぶ女性という組み合わせのこの公演、両者の美質がもたらしたシベリウスの協奏曲の爽やかな名演を堪能させて貰えました。
二人の大成が楽しみです。