こちらもまた、
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督作品。
『刺さった男』(11)。

{3AC78678-D2BB-4F4C-8227-4DC279524416}

失業して職探し中の男・ロベルトは、
あまりに上手くいかない一日の終わりに
新婚旅行で訪れた思い出の地に足を運ぶ。
だがそこは博物館に変わっており、
うっかり入り込んだ発掘中の遺跡で事故に遭った彼は、
頭に鉄筋が刺さって身動きが取れなくなってしまう。

『気狂いピエロ』(10)もそうですが、デ・ラ・イグレシア監督は、
当時の社会情勢も織り込むのが上手いんです。
今回ならばスペインの景気低迷を受けていて、
ずーっと失業している男が事故に遭い、
自殺と勘違いされてしまうなど。

頭に鉄筋が刺さってるとか、痛くて見てられない…!
という方もご安心を爆笑
ロベルトはいたって元気で、
血も出ません(クライマックスまではw)。

身動き取れないロベルトの周りを、報道陣、医者、
博物館関係者、政治家、付近の住民など多くの人が
取り囲みます。
みんなそれぞれの思惑があって、ロベルトは振り回されるのかと思いきや。
彼はどこまでも家族のことを想っていて、
どうにかお金を残そうと自らをネタに売ろうとする。
そんなのやめてという妻と、聞かない夫。
やってることはコメディなんですが、
思いのほかヒュマーンドラマなのです。
こういう、色んな感情やジャンルをぶっこんでくる辺りも
デ・ラ・イグレシア監督さすがキラキラ

あとで駆けつける息子は、
中性的な細身、パンクスバンドマン丸出しの厚底ブーツで
なんかものすごい威圧感なのにお父さんのことを
ちゃんと想っているし、
娘ももちろん。
サルマ・ハエック演じる奥様も美しく強い。
あー、頑張りやさんのロベルトだから
こんな素敵な家族に恵まれたのね…ラブラブ
納得できる家族愛が素晴らしい!

ラストは「!?」となる終わり方をして驚きますが、
それでも「なんだよ!」ってならないで満足感が残るのが
これまたデ・ラ・イグレシア監督の不思議なテイスト。

笑ってウルっとくる傑作ですニコニコキラキラ