皆さま、こんばんはです流れ星

先日、こんなのやってるよーと教えていただいたので
急遽観てきました。
『無垢の祈り』。
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平山夢明先生の小説『独白するユニバーサル横メルカトル』の1編、
『無垢の祈り』を実写化したもので、
『幼獣マメシバ』(09)や『ねこタクシー』(10)の亀井亨監督の作品。

義父からの虐待で頭蓋が変形している少女・ふみ。
学校では“おばけ”といじめられ、母親は新興宗教にハマり、
ふみには目もくれない。
何処にも行く場所の無いふみは、
やがて巷を騒がず連続殺人鬼に会いたいと願うようになる。

平山夢明先生といえば、
この原作が収録されている『独白するユニバーサル横メルカトル』で
さらに名前を轟かせることになった印象があるが、
本当に後味の悪い厭なお話ばかりを書く方…(褒め言葉)
ガーン
大体のものを“恐い”と思わなくなってしまった私が
薄気味悪さを感じたのも、平山先生の『他人事』でした。
先生の作品は、抗いようの無い暴力、意味の無い暴力、
正しいものが踏みにじられる暴力……
そんなイメージの作品が多いのです。

『無垢の祈り』も、残酷描写というよりモラルの問題で、
上映にこぎ着けるまで長かったようです。
こりゃソフトにはならぬかもしれんのぅと思い、
上映期間中にパッと観てきたわけです。

85分、ぬめぬめと、重々しい空気がのしかかる。
何処にも行けない閉塞感。
たっぷりと感じられました。
工業地帯の黒煙に包まれた街の片隅で、
暴力と妄信しかない世界。
ふみはそこから抜け出そうと、何度も母に訴えかけるのですが、
母親は夫(ふみの義父)の支配をカルマと受け止め、
逃げる気は無いのです。

そしてふみは、義父に暴力以外の虐待も受けています。
そこの描写は、子役に演じさせている以上、
流石に映せないためか、代替手段が用いられているのですが…
それがまた怖いというか、
より不気味さを醸しているというか。
良い効果になっています…!
(後味悪さをプラスするという意味でドクロドクロドクロ)

ちなみにクライマックスは、原作と映画では少し違うのですよー。
原作の方が明確に救いがあるので、まだ明るいかな…。
なんて言いつつも、映画も割と原作通り進むので、
原作そのままの台詞もあります。
それがなんともエグい台詞。
ああ、うん、でもこういう“奴”はいるんです、現実にも。
そしてふみちゃんみたいな境遇の子も。
この作品の怖いところは、
それがフィクションだけのお話では済まないところ。

上映後、すすり泣く声がちらほら聞こえてきたことに救われました…。
少しでも興味を持った方がいたら、
ぜひ観てみてほしいと思う作品でした。