夢~Dreamer~(13) | 未知なる心へ

未知なる心へ

統一教会入信から脱会までの日々と、脱会後の魂の彷徨。

わたしは伊藤みどりの練習場である「名古屋スポーツセンター」に行ってみることにした。名古屋スポーツセンターは、大須観音のすぐ近くにある。初めて見たときは「ここで伊藤みどりが練習してるんだ!」と思うと、感慨深いものがあった。

 

 

わたしは最初、ここのトレーニングジムに通いながら、伊藤みどりと接触する機会を伺おうと思った。だが、問い合わせてみた結果、ここはスケートリンクとスタジオがあるだけで、ウェイトトレーニングの設備はないことが分かり、落胆した。ここでまた、わたしの計画は暗礁に乗り上げてしまったのだ。

 

 

だが、それからしばらく後、耳寄りな情報が入った。7月1日に名古屋スポーツセンターで「アイスフェスティバル」というイベントが行われると知ったのだ。このイベントは、ここでスケートを学んでいる生徒たちの発表会で、ゲストとして伊藤みどりも参加するというのだ! しかも入場は無料。わたしは願ってもないチャンスが訪れたと思った。

 

 

だが、喜びもつかの間、あらたな問題が持ち上がる。同じ7月1日に、日本拳法部の新歓コンパが行われることになってしまったのだ。新歓コンパはOB達も集まる一大イベントだ。これを当の新入生が欠席することなど許されるはずもない。

 

 

わたしは悩み、ギリギリまで葛藤したが、最終的に選んだのは伊藤みどりの方だった。このチャンスを逃せば、次にはいつ会えるかわからない。もう、これで退部になるなら仕方ないという覚悟で、新歓コンパを欠席することにした。

 

 

7月1日は、数少ない友人である長谷川が、しぶしぶ同行してくれた。わたしが一緒に来てくれるように懇願したのだ。なぜなら、伊藤みどりと一緒に写真を撮るのに、カメラマンが必要だったからだ。

 

 

わたしはついに、生身の伊藤みどりに会うことができた! 間近で見る彼女のスケーティングは、信じられないほどのスピードで躍動感に溢れていた。そして、演技後の彼女に、わたしは勇気を振り絞って近づいた。そして、持参していたサイン色紙を差し出した。

 

 

「すみません、サインをお願いします」 彼女は快くサインに応じてくれた。そしてその後、「一緒に写真を撮ってもらえますか?」とお願いし、二人で並んで写真に納まった。

 

 

わたしとしては、それだけでも十分な成果だった。サインをもらうこと、一緒に写真を撮ること。この二つを達成でき、わたしは満足して帰路に着いた。

 

 

その日の晩、夜も9時近い頃、誰かが下宿の扉をたたいた。出てみると、日本拳法部の浅井先輩と岡部だった。わざわざコンパで出た唐揚げを届けてくれたのだ。そして、OBの先輩方には、来れない理由をうまく取り繕ってくれたようだった。

 

 

自分の勝手で迷惑をかけたのに、わざわざ自宅まで来てくれた先輩の気持ちを思うと、申し訳なくて涙が出そうになった。日本拳法部の先輩は、皆良い人ばかりだ。わたしは部活を辞めずに、これからも頑張ろうと、誓いを新たにしたのだった。

 

 

(つづく)

 

 

 

 
 

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