女性不信(6) | 未知なる心へ

未知なる心へ

統一教会入信から脱会までの日々と、脱会後の魂の彷徨。

菊本は私の入社初日から、会社や社長の愚痴をこぼした。

 

「給料が安い」

「休みが少ない」

「社長はケチだ」

「実力のある人はみんな独立していなくなってしまう」

 

私は、これから入社して頑張ろうという人に、いきなりこんな話をする意図はいったい何だろうと勘ぐったが、きっとこれは、私のやる気を殺ぐために言っているのだろうと思った。

 

そして菊本は私の前任者が退職した経緯を話し始めた。

 

私の前任者は古澤といった。歳は三十代の半ばで営業成績は優秀だったが、成績を上げるために高額の商品ばかりを客に勧めたため、一部の客からの評判は芳しくなかった。

 

高額商品を売ると報奨金が出るのだが、社長が報奨金を払うのを渋って、古澤の販売方針を批判したため、それに反発して会社を去ったのだという。

 

私はおかしいと思った。高額な商品ほど利ざやが大きいのだから、報奨金を出しても会社は儲かるはずである。だから、高額商品ばかり売ることを社長が批判するはずがない。きっとこの話には裏があり、菊本は何かを隠しているのだろうと思った。