
学びながら呑みログ タカラCANチューハイの件
「11種類の樽貯蔵熟成酒」という缶に書かれた謳い文句どおり、自社の焼酎「純」を使ってる。
「純」は1977年発売後、ロングセラーの甲類焼酎。
「純」は1977年発売後、ロングセラーの甲類焼酎。
焼酎は、戦後のバクダンやカストリ焼酎(粗悪な密造焼酎)の悪いイメージ、その後のウイスキーブームによって虐げられていた。そのなかで宝酒造が、焼酎メーカーの意地で作ったのが「純」だ。サントリーの「樹氷」とともに、「純」は、焼酎の呑み方を変えた。甲類焼酎は、その製造方法から無味無臭だが、「純」は、大麦などの蒸留酒を混ぜて作っているので、ほのかな甘味がある。ストレートで呑んでも旨い。
戦後は、安いが旨くない焼酎を呑むために、梅のエキスやシロップでごまかしていた。ごまかさないで、安くて旨い焼酎「純」によって酎ハイのブームが起きた。焼酎を炭酸水で割る。ウイスキーが高くて呑めない、庶民の呑みもの、焼酎ハイボール。
その「純」を出した宝酒造が、1984年1月に、気軽に呑める初の缶入り酎ハイ「CANチューハイ」を出した。商品としての酎ハイは、実は東洋醸造の「ハイリキ(当時はハイリッキー)」だ。瓶入りで1983年に発売。その後に「CANチューハイ」が1984年1月発売。缶入りの「ハイリキ」が1984年7月発売。ややこしいが、缶入りは「CANチューハイ」が初。
最近の缶チューハイはウォッカばかり。ウォッカは外国からの大量輸入で、国内製造の焼酎より、はるかに安い。だが、だが、酎ハイを呑むなら、やっぱり焼酎がいい。ウォッカと違って濾過してないぶん、味わいがある。
糖類が入ってるのに、さっぱり、甘くなく、最後に「純」の味が残る。ほんとうに酎ハイという名が合う。アルコールが高めなところもいい。ぜひ。
レモンが定番だが、プレーンも勧める。カットレモンを添えて、ぜひぜひ。
タカラCANチューハイ(レモン):
原料:焼酎・レモン果汁・糖類・香料・紅花色素
アルコール:8%・果汁:3.3%・分類:リキュール
バクダン:
戦中、サツマイモを原料にした航空燃料のエチルアルコールを作った。焼酎と同じ蒸留製法で作ったので呑める。だが、大事な燃料なため、呑まないようにメチルアルコールを混ぜた。さらにまちがわないようにピンクに着色。戦後、この燃料が流れて、脱色、気化、メチルアルコールを除いて作った焼酎。まあ、そこまでして呑みたいわけ。ここまでいいが、うまく除けなかったり、めんどいから除かなかったりしたバクダンを呑むと、失明。