さて、久しぶりにこっち方面のネタを一つ。
散々、話題になっているガソリン税の暫定税率だが、「維持派」の論拠の一つは「地球温暖化が問題となっているこの時点でガソリンの消費を増やすガソリン税の減税をやるのか?」というもの。
2008年3月31日付けの日経ネットPlusに土居丈郎氏(慶應義塾大学経済学部准教授)の議論が紹介されている。この記事を読むには会員登録をしないといけないので会員登録をしていないと読めないのだが、大まかな議論は次の3点にまとめることができる:
1)地球温暖化防止の観点からガソリン税の暫定税率維持は必要。
2)ガソリン価格の高騰で影響を受ける低所得者は社会保障で対応すべき。
3)不必要な道路工事をしないような道路整備費の精査が必要。
理論経済学上は確かに正しい。そして紙幅の問題上、かなり議論を端折ったのだろう。それにしても突っ込みどころが多すぎる。
まず、1)の暫定税率維持が環境対策になるかどうか、と言うことだが、土居氏の議論の大前提は暫定税率相当の資金が環境対策に使われる、と言うことである。現実問題としてガソリン税は道路特定財源、即ち道路整備費捻出のための目的税である、ということである。仮に土居氏の議論の通り、暫定税率の維持により、ガソリンの消費が減ったとしても、その資金で森林を切り崩し、道路工事で二酸化炭素を大量に撒き散らしたのでは意味が相殺されてしまう。
2)、3)は教科書に書いてある経済学理論だけで議論している感がある。特に3)の部分については「精査をすれば無駄な道路を作らなくなる」と言う趣旨のことを書いてあるが、問題は報道にあるとおり、「精査が機能していない」ということであり、その現実を直視していないところに大きな落とし穴があるといわざるを得ない。また、2)の社会保障費についても、土居氏の想定している「低所得者層」とは明らかに生活保護をうける層のことをさしており、彼らの大部分はそもそも自動車を保有していない。むしろ、生活保護を受けるほどの低所得者ではないが、ガソリン価格の高騰で生活に大きな影響を受ける層がいる、と言う現実を全く無視している。
さらに言おう、土井氏の主張する「精査」の最も強力なものは「歳入を減らすこと」だ。
ガソリン税下げを想定、新潟県が土木予算20億円凍結
国会で議論が続いている道路特定財源の暫定税率が廃止された場合を想定し、新潟県が新年度の道路建設予算など約20億円分の土木事業費を凍結していたことが25日、分かった。県の試算では、暫定税率が廃止された場合、道路の建設や維持管理費の約40%が減るため、対応を迫られていた。
県土木部によると、凍結したのは、3月19日以降に実施されるはずだった、道路建設費や河川、砂防関連の土木工事70件の入札や発注。財源不足を見込み、新年度の予算でまかなう予定だった20億円分の事業を見直す。県民生活に大きな影響を及ぼす道路の維持管理、補修費は対象外とした。
同部によると、新年度当初予算では道路や橋の建設、維持費として664億円を組んでおり、暫定税率が廃止された場合、税収で130億円、全体で約4割の予算が減少するという。
同部監理課は「順番に工事を実施すると、真に必要な道路の予算がなくなる可能性があり、自主的に凍結した。今回の議論が不透明な中、手をこまぬいているわけにはいかない」と説明している。
これ、多分、発表した本人は意識していないのだろうが、「真に必要な道路の予算がなくなる可能性があり」、と言うことは「真に必要な道路」以外のものも沢山ある、と白状しているようなものである。
多分、土居氏の意図としては「理論経済学上、こういうことが言える」という議論の材料を提供しただけのつもりなのだろうが、「それにしても」という印象の残る主張である。
散々、話題になっているガソリン税の暫定税率だが、「維持派」の論拠の一つは「地球温暖化が問題となっているこの時点でガソリンの消費を増やすガソリン税の減税をやるのか?」というもの。
2008年3月31日付けの日経ネットPlusに土居丈郎氏(慶應義塾大学経済学部准教授)の議論が紹介されている。この記事を読むには会員登録をしないといけないので会員登録をしていないと読めないのだが、大まかな議論は次の3点にまとめることができる:
1)地球温暖化防止の観点からガソリン税の暫定税率維持は必要。
2)ガソリン価格の高騰で影響を受ける低所得者は社会保障で対応すべき。
3)不必要な道路工事をしないような道路整備費の精査が必要。
理論経済学上は確かに正しい。そして紙幅の問題上、かなり議論を端折ったのだろう。それにしても突っ込みどころが多すぎる。
まず、1)の暫定税率維持が環境対策になるかどうか、と言うことだが、土居氏の議論の大前提は暫定税率相当の資金が環境対策に使われる、と言うことである。現実問題としてガソリン税は道路特定財源、即ち道路整備費捻出のための目的税である、ということである。仮に土居氏の議論の通り、暫定税率の維持により、ガソリンの消費が減ったとしても、その資金で森林を切り崩し、道路工事で二酸化炭素を大量に撒き散らしたのでは意味が相殺されてしまう。
2)、3)は教科書に書いてある経済学理論だけで議論している感がある。特に3)の部分については「精査をすれば無駄な道路を作らなくなる」と言う趣旨のことを書いてあるが、問題は報道にあるとおり、「精査が機能していない」ということであり、その現実を直視していないところに大きな落とし穴があるといわざるを得ない。また、2)の社会保障費についても、土居氏の想定している「低所得者層」とは明らかに生活保護をうける層のことをさしており、彼らの大部分はそもそも自動車を保有していない。むしろ、生活保護を受けるほどの低所得者ではないが、ガソリン価格の高騰で生活に大きな影響を受ける層がいる、と言う現実を全く無視している。
さらに言おう、土井氏の主張する「精査」の最も強力なものは「歳入を減らすこと」だ。
ガソリン税下げを想定、新潟県が土木予算20億円凍結
国会で議論が続いている道路特定財源の暫定税率が廃止された場合を想定し、新潟県が新年度の道路建設予算など約20億円分の土木事業費を凍結していたことが25日、分かった。県の試算では、暫定税率が廃止された場合、道路の建設や維持管理費の約40%が減るため、対応を迫られていた。
県土木部によると、凍結したのは、3月19日以降に実施されるはずだった、道路建設費や河川、砂防関連の土木工事70件の入札や発注。財源不足を見込み、新年度の予算でまかなう予定だった20億円分の事業を見直す。県民生活に大きな影響を及ぼす道路の維持管理、補修費は対象外とした。
同部によると、新年度当初予算では道路や橋の建設、維持費として664億円を組んでおり、暫定税率が廃止された場合、税収で130億円、全体で約4割の予算が減少するという。
同部監理課は「順番に工事を実施すると、真に必要な道路の予算がなくなる可能性があり、自主的に凍結した。今回の議論が不透明な中、手をこまぬいているわけにはいかない」と説明している。
これ、多分、発表した本人は意識していないのだろうが、「真に必要な道路の予算がなくなる可能性があり」、と言うことは「真に必要な道路」以外のものも沢山ある、と白状しているようなものである。
多分、土居氏の意図としては「理論経済学上、こういうことが言える」という議論の材料を提供しただけのつもりなのだろうが、「それにしても」という印象の残る主張である。










