国語辞典には壮大で威厳のある名前がついています
「言海」「広辞苑」「大辞林」
 
そしてこの「大語海」は昭和57(1982)年4月1日(エイプリルフール)にパルコ出版が発行したふざけた辞典です
もちろん「大誤解」にかけて、いい感じにおちょくっている命名ぶりが最高です
 
物事に皮肉った解説を与える書籍といえばビアスの「悪魔の事典」がありますが、あれを昭和サブカル脳で作った低俗版ですね(キッパリ)
 
元は雑誌「ビックリハウス」に投稿されたネタで、それを編集した内容となっています
今だと2ちゃんねるの大喜利スレ本という感じでしょうか、類書もあるようです
 
90年代に古本屋(200円)で見てスルーしてしまい、最近欲しいなと思ったらオクで1500円もついていました
それではと所蔵のある図書館から借りたところ、紙が茶色く劣化し過ぎ!
この手合いは紙質は悪くここまで保存されていただけでも奇跡ですが、開くと硬化した背の糊が割れ、本が真っ二つになりそうで早々に返却しました
 
ちょっと内容を見ていきます
 
ヒネりまくった除文(序文)に続き、執筆者が28頁にわたり紹介されています、約100人✕28頁でざっと2800人
「読者の上に読者を作らず、読者の下に編集者を作る」という投稿雑誌ビックリハウスの理念を象徴するような構成で始まります
 
で本編ですが
 
くっだらねぇー & センス古っ!
オゲレツなネタは今も昔も、ですが、インテリジェンスを感じるネタや政治的なネタの多さに、この世代の学生らしさを感じます
 
■辞書の項は、だいたい既存の単語をもじったダジャレでした
 
国産者 伊邪那岐命と伊邪那岐命のこと
指向錯誤 あっちむいてホイッのゲーム
自暴自喜 自分で自分を痛めつけよろこぶこと
吸吸車 バキュームカー
マヨネーズ 徹夜した川崎麻世
触欲旺盛 痴漢
 
■動詞「ーる」を新語にしたものも結構ありました
 
モノガタル 地震が来る
ヤクシマル ①麻薬を取り締まる ②証明する
ガール 20歳を過ぎても少女っぽく振舞う
ギャル ギャーギャーうるさい女の子になる
 
■ビックリハウス系で最後まで続いた「ご教訓」も載ってますが概ねつまらなかった…
 
ウィスキー 少っち飲んで家庭裂ーく (※カティーサーク)
 
■回文の項は今見てもハズレがないくらい秀作が多かったですね
 
妻、お主が死ぬを待つ
 
つまんねー第九聞き悔いた年末 ←ちょっと反則
 
痴漢は誰?今宵語れず。忘れたかい汚れたハンカチ
 
敏いとうは妊娠にはうとい人(しと) ←ちょっと反則
 
ヘアリキッドけつにつけドッキリーアヘ!
 
ヨッ、紳士!見な!猥談よりはやはり読んだ岩波新書
 
「旦那、恋なの?」「そう、嘘のない娘なんだ」
 
蒔いたから良き夏まで待て つい好しむ ムショ行ってまで待つな清らか大麻
 
崖→まっ逆さま→怪我
 
14*23*64*82 = 28*46*32*41 ←これ天才
 
というわけで昭和のサブカルの雰囲気が垣間見える一冊を紹介しました
 
最後に秀逸にひねくれた序文をご覧ください
テキスト化が難しいので画像です