まず「六月のぶりぶりぎっちょう」は、京都に所縁がある日本の偉人が現代に蘇ってくる物語です。今作は「三月の局騒ぎ」と表題作の「六月のぶりぶりぎっちょう」の二編が収められています。

 「三月の局騒ぎ」ではさらりと記述すると、平安時代の女流文学者が現代に蘇って人知れずインターネットでエッセイを記している物語であり、表題作の「六月のぶりぶりぎっちょう」では本能寺の変に所縁がある人が現代に蘇って、とある目的を果たそうとしている物語でした。両作ともかなり物語としては上質な文学になっており、これはシリーズ化になったので今後とも定期的に追いかけていきたい作品です。京都に所縁のある偉人を現代に蘇らせる物語ならば、坂本龍馬や菅原道真や足利将軍家なども作品の中で取り上げるのは可能になります。今後は誰が登場するのか非常に楽しみになります。

 「わたしは孤独な星のように」ですが、これは基本的に早川書房から刊行されている事でも理解できるように、SF作品の短編集です。そんなに難解な文章が連ねている作品ではないので気軽に読める作品です。また、笑える作品も用意されています。ガチガチのSF作品ではなく、かなりライトなSF作品になっています。作品を読んでいると、何年か後に「世にも奇妙な物語」でドラマ化されるような作品もありました。