現在趣味で読んでいる書籍は9冊ありますが、読んでいてより充実感がある書籍が大澤真幸氏と大江健三郎氏が執筆した書籍でした。厳密に言えば、筒井康隆氏が執筆した作品も充実感がありますし、ジョルジュ・バタイユの「至高性」も充実感がありますが、より充実感があるのが上記の作品です。書籍情報を記述します。

 

 ①「<世界史>の哲学 現代篇1 フロイトからファシズムへ」

 大澤真幸 講談社

 ②「火山 旅への試み 大江健三郎デビュー前小説集」

 大江健三郎 講談社

 

 ①ですが、これは研究者が2020年8月~2022年2月まで文芸誌群像に連載されていた評論文を一冊にまとめた書籍です。19世紀から20世紀に至るまでダイナミックな時代の変化があり、それを序盤はフロイトやニーチェの思想から読み解いています。

 筆者の見解によれば、第一次世界大戦は19世紀のヨーロッパ的慣習や思想を終わらせた戦争であり、栄華を誇ったハプスブルク家の解体がそれを象徴していた。フロイトという人は、第一次世界大戦前に執筆していた「トーテムとタブー」においてエディプスコンプレックスを全面的に肯定した論文を発表したが、第二次世界大戦直前には「モーゼという男と一神教」というエディプスコンプレックスを否定するような論文を発表した。これは筆者の見解によれば、「トーテムとタブー」は19世紀的な近代のヨーロッパを説明しようとし、「モーゼという男と一神教」では20世紀的な現代のヨーロッパを説明しようとした。

 重要な論点として、「トーテムとタブー」と「モーゼという男と一神教」という論文は、歴史学や人類学などの歴史的な経緯や学術的な見解を踏まえた論文というよりは、村上春樹の小説よりも面白い完全な神話や民話のようなフロイトの主義主張となっており、いまだに研究者の間で異論反論は根強い。

 

 ②ですが、大江健三郎氏の死後に発見された未発表作品や、東大が発行していた文芸誌に発表された事のある作品など4作品が収録されています。まだ大江健三郎氏が重厚な文体を獲得する前の作品であり、現代作家の書く文章と何処となく文体が似ています。またここから飛躍して世界的な作家になった方の無名時代における萌芽が感じられます。

 

 このような万人受けしないニッチな分野の書籍を読んでいましたが、このような活動が差別化につながるのであり、興味があった方は読んでみて下さい。