今日はソファーで寝てしまっていました。早朝に目が覚めてから最初は大学のテキストを熟読していたのですが、その後は「1973年のピンボール」を手に取り熟読して先程読み終わりました。
「風の歌を聴け」を読み終わった直後に続編の「1973年のピンボール」に入ると、作品から多大な感銘を受ける事もあります。また作品は当時の日本社会を反映していると同時に現代の日本社会も言い当てている描写も複数箇所あり、村上春樹先生は非常に慧眼だった事に気付かされます。
物語の時代設定は、タイトルでも気付きますが1973年です。主人公の視点と鼠の視点で物語は進んでいきます。25歳になっていた主人公の男性は東京に、途中で大学を辞めていた鼠は地元にいます。重要なのは、お互いが連絡を取っていない状態であり没交渉となっている点です。
鼠は地元に留まり、ジェイズ・バーの客として過ごしています。本心では地元を出たくて仕方ない心境であり、なかなか踏ん切りがつかないのですが、物語の終盤で地元を出ていく決心がつきます。主人公の男性は都会で暮らし比較的前向きなのに対して、地元に留まっていた鼠は比較的後ろ向きです。この描写に対して、現代における大学進学で都会に移り住んだ人は比較的充実していて、田舎に留まった人は苦しい思いをしている現代の日本社会を言い当てている描写に思えて仕方なかったです。今ベストセラーになっている書籍で、「移動する人はうまく行く」という書籍がありますが、移動した主人公は比較的うまく行っていて、移動しなかった鼠はうまく行っていなかったとも解釈できます。
物語の終盤で主人公の男性が、かつて遊戯していたかなりレア物のピンボール台を探し当てて、そのピンボール台と人間同士が会話するように会話する描写があります。そのピンボール台と主人公との間にある会話を一体どのように読み解くか。
自分の個人的な解釈は、主人公の男性が今までの人生を少し後悔すると同時に、かつて友人だった鼠の事を非常に気に掛けていると解釈しました。その鼠の事を非常に気に掛けていた主人公が鼠に再会しようと試みる物語が、次作の「羊をめぐる冒険」になります。
今作を読み終わって、年齢を重ねた時にしか気付けない描写や暗喩等に気付くことが出来て非常に満ち足りた気分になりました。この様な経験が人生の濃淡にも繋がると考えています。興味があった方は読んでみて下さい。