『リヴァプール駅長ジェームス?ブランドへ、――旅行バッグ臨列、遅刻なく四時五十二分当駅通過、――セント?ヘレン
ス、ダウサー。』
この電報は六時四十分に受取った。するとまた六時五十分にはマンチェスターから第二信が飛来した。
『予報の臨列未着』
それから十分後には、いっそう謎のような第三信が受取られた――
『臨列の予報は何かの間違と認む。臨列後のセント?ヘレン発短距離列車ただいま到着したるも臨列の姿を見ず
という。返信待つ――マンチェスター。』
この第三信から次のように推測することが出来る。――もし臨時列車に何かの椿事(ちんじ)が起ったのな
ら、その短距離列車がそれに気づかずに同じ線路を走ったものとはどうしても受取れないはずだ。でないとす
れば、何かの理由で支線へはいって、後から来るヴィトン バッグ普通列車を待避しつつあるのだろうか? もしくは、あった
のだろうか? とにかく駅長は、セント?ヘレン、マンチェスター両駅間のことごとくの駅に一々電信を打って
みることにした。打電の順序で各駅から続々と次のような返電が来た――
『臨列、五時当駅通過――コリンス?グリーン。』
『臨列、五時五分当駅通過――アールスタウン。』
『臨列、五時十分当駅通過――ニュートン。』
『臨列、五時二十分当駅通過――ケニヨン。』
『臨列、当駅通過せず――バートン?モス。』
駅長と運輸課長とは驚きの余り顔を見合せた。
『僕は三十年も鉄道に勤めてるが、こんな狐に憑(つ)ままれたような事件は初めてだ。』と駅長が言った。
『ほんとうに開通以来未曾有の出来事です。ケニヨンとバートン?モスの間で何か椿事が起ったのですな。』
『だが僕の記憶にして誤(あやなり)なければ、両駅間には支線は一本も無いはずだ。どうしても、本線を走
って行ったものとしか思われんがな――』
『といって、その短距離列車が同じ本線の上を………?』
『フード君、けれども外(ほか)に考えようが無いではないか。本線を進行したものとしか考えられんではな
いか。たぶんその短距離列車は、何等かの手掛りになるような事実を見たろうと思う。よし、もう一度マンチ
ェスターへ打電してみよう、それからケニヨンへも打電して至急バートン?モスまでの線路を取調べるように請
求してみよう。』
マンチェスターからの返電は三分と経たないうちに来た。
『今もって何等かの報道なし。短距離列車の機関手も車掌もケニヨン、バートン?モス間に何等かの変事を見ず
――マンチェスター。』
ス、ダウサー。』
この電報は六時四十分に受取った。するとまた六時五十分にはマンチェスターから第二信が飛来した。
『予報の臨列未着』
それから十分後には、いっそう謎のような第三信が受取られた――
『臨列の予報は何かの間違と認む。臨列後のセント?ヘレン発短距離列車ただいま到着したるも臨列の姿を見ず
という。返信待つ――マンチェスター。』
この第三信から次のように推測することが出来る。――もし臨時列車に何かの椿事(ちんじ)が起ったのな
ら、その短距離列車がそれに気づかずに同じ線路を走ったものとはどうしても受取れないはずだ。でないとす
れば、何かの理由で支線へはいって、後から来るヴィトン バッグ普通列車を待避しつつあるのだろうか? もしくは、あった
のだろうか? とにかく駅長は、セント?ヘレン、マンチェスター両駅間のことごとくの駅に一々電信を打って
みることにした。打電の順序で各駅から続々と次のような返電が来た――
『臨列、五時当駅通過――コリンス?グリーン。』
『臨列、五時五分当駅通過――アールスタウン。』
『臨列、五時十分当駅通過――ニュートン。』
『臨列、五時二十分当駅通過――ケニヨン。』
『臨列、当駅通過せず――バートン?モス。』
駅長と運輸課長とは驚きの余り顔を見合せた。
『僕は三十年も鉄道に勤めてるが、こんな狐に憑(つ)ままれたような事件は初めてだ。』と駅長が言った。
『ほんとうに開通以来未曾有の出来事です。ケニヨンとバートン?モスの間で何か椿事が起ったのですな。』
『だが僕の記憶にして誤(あやなり)なければ、両駅間には支線は一本も無いはずだ。どうしても、本線を走
って行ったものとしか思われんがな――』
『といって、その短距離列車が同じ本線の上を………?』
『フード君、けれども外(ほか)に考えようが無いではないか。本線を進行したものとしか考えられんではな
いか。たぶんその短距離列車は、何等かの手掛りになるような事実を見たろうと思う。よし、もう一度マンチ
ェスターへ打電してみよう、それからケニヨンへも打電して至急バートン?モスまでの線路を取調べるように請
求してみよう。』
マンチェスターからの返電は三分と経たないうちに来た。
『今もって何等かの報道なし。短距離列車の機関手も車掌もケニヨン、バートン?モス間に何等かの変事を見ず
――マンチェスター。』