3つの出会い | 曇天

曇天

敵は頭上の雲にあり。

くされ縁、と言える恋人寄りの友人が1人居る。


恋人寄り…?なんか違うような…今となっては雰囲気は夫婦みたいだと思う。
友人…?そう呼ぶには歳が離れすぎているよーな。
まあ何せくされ縁だからな…縁がぐずぐずすぎてもう形が無いのかも。


楽器屋店主、坂本さんと知り合ったのはおよそ10年前に遡る。
あたしは明らかに若者で、彼は明らかに中高年だった。


正しく青い若者であったあたしは、結婚している奴と付き合うことは勿論なかったし、
むしろそういった世界に足を踏み入れる輩をモーレツに軽蔑していた。
「バカじゃねえの、離婚してからヤレよんなこと」
と声高に人前でのたまわったものだ。


既婚者で、しかも20も歳の離れた坂本さんとくんずほぐれたのには理由がある。
それは「やけくそ」という青い勢いだった。


そしてその「やけくそ」に至るのには、クソがふた山ほどある。
思えばこのクソふた山こそが、あたしの白身と黄身をグチャグチャにした出来事だったし、
坂本さんと付き合っていく過程というのは、なだめながらすかされながら
自分が守り抜いてきた青いモラルを下水に流されていく過程でもあった。




坂本さんのことを書くにはまずそのふた山を。
まずは運命の出会い、あたしの神様。
心をロードローラーで念入りに踏みつぶしていった男、ヒロトの話から。