先日、バニラ先生にとても興味深い臨床経験を教えて頂きました(^_-)-☆。
アトピー性皮膚炎の患者さんに亜鉛軟膏がよく処方されています。皮膚の湿潤を乾かせるために処方されるということでした。
この軟膏を長期間使用している人は貧血になっていることに気づかれたといいます。
その理由は、重金属、特に鉄の講義でお伝えしてきたことにヒントがあります。
まず亜鉛が過剰になると・・・・・・
その前に、そもそもなぜ亜鉛軟膏で亜鉛が過剰になるのでしょうか?
アトピー性皮膚炎では皮膚のバリアがありません。
そこに亜鉛を塗布すると、ダイレクトに血管に吸収されて全身の循環に入ります。
亜鉛のサプリの経口摂取では、このような過剰症が起こるのは極めて稀です。
さて、その亜鉛の血液濃度が過剰になると、何が起こるでしょうか?
今度は銅の吸収が抑えられ、排出が高まります。
つまり亜鉛過剰で銅不足になるということです。
そして・・・・
銅は鉄の生体内利用に欠かせない重金属です。
銅がないと鉄が運搬されなくなるので、いくら鉄が体内に充足していても鉄不足になるのです(鉄の運搬、酸化・還元は銅タンパク質の作用による)。
これを機能的鉄不足といいます。
銅不足から鉄の利用ができないために「鉄欠乏性貧血」という、これも稀なタイプの貧血が起こります。
鉄が不足しすタイプの貧血は、実は極めて稀で、一般的には大失血したときくらいのものです。
ここで貧血だからといって鉄が投与されるケースがあります( ;∀;)。
さあ、亜鉛軟膏で貧血になった場合に、鉄剤や鉄のサプリを投与するのはどうでしょうか?
・・・・・・・・・・
いくら鉄を入れても、銅不足で鉄が利用できないので、意味がありませんね(^^♪。
意味がないだけでなく、鉄過剰でプーファの酸化が進行し、過酸化脂質(アルデヒド)が大発生します。
これはアトピー性皮膚炎をさらに悪化させます(プーファがアトピーの直接原因です(#^.^#))。
アトピーの皮膚に対して亜鉛を長期間使用し、そのため起こった貧血に対して鉄剤を投与する。これは過酸化脂質を大量発生させてアトピー性皮膚をさらにフレア・アップさせます。
症状に対する目先の対処は、めぐりめぐって状態をさらに悪化させるという悪循環を招くのですね!(^^)!。
こういった症状を抑えることを主体とする治療を見ると、いつもサッカーでいうところの「ボール・ウォッチャー」を思い出します。
「ボール・ウォッチャー」とは、ボールのあるところに意識が向かいすぎているために、自分の適切なポジションから離れてしまい(マークを外す)、相手から得点を簡単に奪われるという初歩的なミスのことを言います。
このボール(をキープしている選手)が症状にあたります。ここに意識が向かいすぎると、その空きを相手に突かれます。
症状に目を奪われると本質(根本原因)を見誤る・・・・・
今、やっていることが対処療法(ボール・ウォッチャー)かどうかを判断するのは、根本原因が何かを理解することからしか始まりませんよね(^_-)-☆。
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