昨年のCNNのニュース記事に関することでご質問がありましたのでシェアしたいと思います。

 

ニュースの記事は以下です。少し長いですが転載いたします。

 

(転載開始)

 

(CNN) オーストラリアで筋トレに励んでいた25歳の女性が、高たんぱくの食事を摂取して死亡した。女性は尿素サイクル異常症と呼ばれる難病だったことが、死後になって判明。たとえ本人が気づいていなくても、こうした危険があることを知ってほしいと遺族は訴えている。

 

オーストラリアのCNN系列局ニュース7によると、ミーガン・ヘフォードさん(25)は今年6月19日、西オーストラリア州マンドゥラーの自宅で意識を失った状態で発見され、数日後に死亡した。ヘフォードさんは7歳の娘と5歳の息子の母親。子ども病院に勤務して救急医療を学ぶ傍ら、ボディービルディングの大会に出場していた。

 

死後に判明した尿素サイクル異常症は、体内で高たんぱくの食品をうまく代謝できない遺伝性疾患で、酵素の欠損が原因でたんぱく質を分解できなくなる。

 

普通、たんぱく代謝によって発生する老廃物の窒素は血液から除去される。しかし尿素サイクル異常症ではそれができず、窒素が有毒なアンモニアの形で血中に蓄積して脳に到達すると、昏睡(こんすい)状態に陥って死に至ることもある。

 

へフォードさんの母ミシェル・ホワイトさんは、「定期的な検査は行われていないので、娘がこの疾患を持っていることを知る術はなかった」と語る。

 

へフォードさんが次のボディービルディングの大会に備えて、たんぱく質が極端に多い偏った食事をしていたことをホワイトさんが知ったのは、娘が死亡した後だった。

 

自宅からは高たんぱくのサプリメントや、綿密な食事の計画が見つかった。赤身の肉や卵の白身などの食事に加えて、プロテイン飲料やサプリメントなども摂取していたことから、たんぱく質の過剰摂取が原因で尿素サイクル異常症の症状を発症したと見られる。

 

専門家によると、ほとんどの場合、健康な人であれば、高たんぱくの食事をしても短期間なら健康を害することはない。

 

尿素サイクル異常症がある場合は、集中力の欠如や疲労感、嘔吐(おうと)といった症状が出て、インフルエンザだと思って医療機関を受診する人もいるという。

 

血中アンモニア濃度の検査をすれば尿素サイクル異常症は発見できる可能性があるが、一般にこの検査は行われていない。

 

ホワイトさんは、娘の事例がこの問題に対する啓発の助けになればと話し、たんぱく質サプリメントの規制強化を訴えた。

 

オーストラリア医師会によれば、こうしたサプリメントに実質的な健康効果はない。大部分の人にとって、こうしたサプリに危険はないものの、必要もないと指摘している。

 

 

(転載終了)

 

このケースの場合、アンモニアを解毒する酵素の一部の働きが悪いという問題を抱えていたのだと思います。稀にこのような遺伝的な代謝異常症が極端な食事をしたときに症状が出て判明します。おそらくこの亡くなった女性は、小さいときから少しアンモニア値は高かったと思います。

 

 

 

 

さて、これをもって糖質制限の方がボディビルやダイエットには良いと言う人がいるがどうかというご質問がありました。

 

 

あの~。。。。。。。。。。滝汗

 

 

 

まず、このような特殊例は一般化できません。。。。。。。。

 

 

そこを踏まえた上でご質問に回答していきたいと思います。

 

 

この女性の場合は、糖質制限をやるとやはり高アンモニア脳症になっていたでしょう。

 

 

 

なぜなら、低血糖(糖質制限による)ではストレスホルモンのコルチゾールが出て、自分の筋肉(タンパク質)が分解されるからです。

 

つまり、高タンパク食も体内の筋肉分解も同じく、処理されるアミノ酸が増加するために、アンモニアを大量に発生します。この女性のように、稀な遺伝性の問題(アンモニアを処理できない)を抱えている人には死につながるということです。

 

 

 

少し生化学の知識があるだけで、このようなデマはすぐに見抜けます。

 

 

またプロテインパウダーをたくさん摂取するのは、肝臓に負担がかかるから問題・・・・という訳でもありません。

 

 

なぜなら、プロテインパウダーは腸からの吸収率が非常に低いからです(プロテインパウダーのアミノ酸組成にも問題があります。3月の大阪のタンパク質講義で詳しくお伝えします)。

 

これも生体の形態形成維持には理に適っていますね。

 

 

あまり毒物の負荷がかからないようにできている訳です。

 

しかし、毎日過度なトレーニングをして自分の筋肉を崩壊させて(コルチゾール)、糖質制限しプロテインパウダーや鳥の胸肉を大量に摂取しているボディビルダーは、遺伝性の問題がなくとも肝臓(肝臓は大量に糖が必要)に負担がかかってきます。

 

 

そうすると、他の毒物(特にプーファ、エストロゲン)の解毒能力が低下していきますので、悪影響がジワジワと出てくるでしょう。もちろんアンモニアも高いはずですから、脳だけでなく全身に悪影響がでます。ボディビルダーの顔色や皮膚の状態(シミが多い)が良くないのもうなずけます。

 

 

だからボディビルが悪いのではなく、やり方があるのです。ダイエットも同じで、やり方があります。最適なダイエット方法やトレーニング方法も執筆していかないといけないですね。これも楽しみにお待ち頂ければと思います。

 

 

 

 

やはり、自分の体のことに関しては、基礎的なサイエンスを反復して勉強することが大切だと最近も痛感しています。私も1ヶ月前に読んだ論文でも、今読むとまた違った視点が見えてきます。毎日、「倦まず弛まず(うまずたゆまず)」ですね。