沢山の時間が流れた。
物事が激しく動き去った夏はもう遠い昔のようで、
そしてまた秋も、音楽に身を沈めている間に通り過ぎていった。
そして今、時は静かに冬という沈黙に停滞している。
南の島とは思えない寒さを感じる。
僕が住むこの家の壁が一部欠落しているせいでもあるが、
地理的にも、屋久島の中でかなり寒い地区の、
その中でもかなり寒い地点にこの家は存在する。
僕が屋久島に辿り着いて、はや一年になる。
出発の時点では想像もしていなかった。
一年間、漁船に乗り込んでで飛魚を追いかけた。
沢山の友人を屋久島に迎え入れた。
屋久島の大切な友人の一人をふいに失った。
僕が本土に出ている数日の間に。
激流に飲み込まれて命を絶ってしまった。
僕は、路上の猫を回避して単独事故を起こした。
街路樹に激突して大きく損傷した車と引き換えに、
自分は奇跡的な無傷で事なきを得た。
過激な暑さとともに色々な事物が過ぎ去った。
秋には無数のライブに沈み込んだ。
喫茶店で、バーで、山奥の公民館で。
数々のミュージシャンが屋久島を訪れ、
その何人かとはセッションを交わした。
その全ては僕の血となり肉となる。
一年間という年月の間に、
沢山の出会いがあり、別れがあり、
色々な事を考え、色々な事を実行に移し、
色々な事を実行せず、そしてまた次の年が無言でやってくる。
あと数時間で訪れる来年という未知のかたまりは、
僕に一体何を与えてくれるのだろう。
次の一年で僕は一体何が出来るのだろう。
期待と不安を胸に僕はここ屋久島で、二回目の新年を迎える。
屋久島が無限に数えて来たうちの二回目の新年を。



