地方の公立校出身の我々夫婦にとって、中学受験はまったくピンとこないものでした。また中学受験のために、友達や家族の時間を犠牲にするなんて本末転倒だとも考えていました。
息子のとっちは飽きっぽく、注意力散漫で多動。勉強嫌い。人の話をしっかり聞くことができず、一言で言うと、いつもとっちらかっている子です。
授業中に歩き回ったりうるさくしたりはしませんが、ぼーっとして、ひたすら彼にとってつまらない授業(実技教科以外の授業)が過ぎ去るのを待っている様子を、授業参観でしばしば目にしました。
小学3年までは、なんとか学校の成績は真ん中をキープしていましたが、4年生になるといきなり急降下。学校のテストでひどい点数を取ってくることもままあり、頭を抱えました。
クラス全体の落ち着きのなさや、新任の先生との相性、とっちの成長過程と抽象的な課題が増えてくる授業内容とのギャップ、などが影響していたのだと思います。4年の主要教科の学校の成績は3段階中1.5くらいでした。(つまり「できる」と「かんばろう」が半々くらいです。)
5年になって担任が変わり、少しクラスの雰囲気が落ち着いても、学校の成績は安定せず、先生からは「授業中の態度とテストの点のアンバランスが不思議すぎる!」と言われるほど。どうやらその時々の気分や機嫌にパフォーマンスが大きく左右されていたようで、セルフコントール力というのが試験には大事なんだなあと実感したものでした。
高学年になって、この担任の先生の細やかな指導に助けられ、とっちは大きく成長する(しかし成績ののびはわずか・・・)のですが、この経験から、とっちの苦手なところをフォローしてくれる面倒見の良い環境が、彼には必要だと強く思うようになりました。
地域の公立中学校には問題はなく、むしろ賢いお子さんが多いという印象。勉強するかどうかは良くも悪くも自分次第というスタンスのようで、中学校で落ちこぼれるリスクがあると感じました。またリーダーシップを取れるわけではなく、提出物や持ち物の管理がいい加減なとっちにとって、高校受験に必要な内申点を取ることは難しいと思われました。
「できるお子さんはどこの学校でも大丈夫。大丈夫でないお子さんほど受験した方が良い!」という声に共感するようになりました。
とっちと受験について少し話ができるようになったのは、4年の終わり頃だったと思います。精神年齢が幼く、イマしか見ていないとっちの様子をうかがいながら、受験って何なの?中学の後はどうするの?といった超基本的なことを、時々話題にするようにしました。「高校での受験ではなく中学で受験する方がとっちに合っていると思う」、という親の意見も伝えました。
幸いとっちの通っている公立小学校は、中学受験をする子どもが多く、友達の間で受験や地元の公立中学校の話題も出ていたようで、そのうち自分から、中学受験をしてみよっかなあと言い出すようになりました。「高校受験は大変そう。中学校でそんなに勉強したくない!」という消極的な理由からではありましたが、それでも良し。「自分で決めた受験」という形がとれたのですから。この点については、周りの環境に感謝!でした。
受験を決めた理由をまとめると以下のようになります。
・私学の面倒見の良い学校で中高6年間を楽しく過ごしたい(とっちと父母)
・6年間の間にゆっくりやりたいことを見つけてほしい(父母)
・思春期真っ只中の高校受験のサポートは母には無理!(母)
・公立校では落ちこぼれるかも(母)
・中学校で(地元公立校にはない)サッカー部に入りたい(とっち)
・個別最適な学び、探求学習、グローバル教育など、充実した私立の教育や施設に期待(父母)
このような経緯で、ようやく親子ともに中学受験しよう!と決意したのは5年の夏休み直前のことでした。はい、とても遅いです。でもとっちには適切な時期だったのかもしれません。
中学受験を決めたものの、とっちがガリガリ勉強できるわけもなく、とっちのペースで、できるベストをつくそうという受験のスタンスも決めました(母の心の中だけです)。いや、決めたというより、それしかできなかったというのが正しいでしょうか。とっちのキャパを超えた勉強時間、勉強量は完全に拒否されるだけでしたので。
結局、とっちは以前から続けていた習い事3つを最後まで続け(一つは教室が閉鎖になったため6年になる直前に終了)、ほぼ毎日公園に遊びに行き、土日はゲームをし、休みは帰省や旅行をし、通常の生活を送りながら受験を迎えました。
勉強好きなお子さんや志望校が明確なお子さんなら、もっと勉強に邁進できるのでしょうが、とっちはそうではないのです。そもそも勉強が嫌いなので、「受験勉強」と旗を振るのも過度のストレスになりそう。
とっちの場合はむしろ、できるだけ通常の生活の中に、受験勉強をバレないようにそっと潜り込ませるのが良いと思えました。さすがに受験3ヶ月前くらいになると「受験生だよ!」との声かけも多くなりましたが、それでも、とっちの日々の様子をみながら、毎日課題を出したり引っ込めたりするのが、私の役回りでした。