私、田村保乃は高校1年生。



地元の高校、ということもあって中学のときとほとんど顔ぶれは変わらなかった。

だから新しいクラスに胸をときめかせる……なんてこともなく。


中学のときとほとんど変わらない日常を過ごしていた。

















ある日、この学校にはある有名人がいることを知った。

………悪い意味で、やけど。




名前は 『森田ひかる』 。




実は森田さんの席は隣。


でも入学してから4ヶ月ほど経つのに、この席に森田さんが座っているのはあまり見たことがない。

見かけたとしても、大抵机に突っ伏して寝ちゃってるし。



それに、あの悪名だかい森田さんのことだ。

万が一森田さんの席に座っているのが本人にバレたら……と思うと、誰も彼女の席には座れないらしい。



武「疲れたー!」


田「ほんまに……数学って眠なるよな笑」



そういえば……唯衣ちゃんもいつも前の席座るしなぁ。

やっぱり森田さんって怖いんかな。



田「なあなあ唯衣ちゃん。」


武「ん?」


田「森田さんってどんな人なん?」


武「ええー……森田さん…?」



森田さん、と聞いてあからさまに嫌そうな顔をする唯衣ちゃん。



田「うん、やっぱ怖い人なんかなって。」


武「えー、だってあんなに傷だらけなんだよ?そりゃ怖いに決まってるじゃん。」


田「あー、喧嘩でもしてるんかな?」


武「あとあの見た目。なんか怖い。」


田「あー……」



何回か話しかけたことがあるが、確かに森田さんはなかなかに奇抜な服装だった。


赤い襟元が特徴的な空色のブラウスに、どこか芸術味のあるカラフルなスカート。

暗いトーンのメイク。

気だるげに目にかかる前髪。

その奥から覗く瞳はとても綺麗で、目を合わせていると、まるで吸い込まれてしまいそうな力強さがあった。



武「とにかく、森田さんとあんまり関わらない方がいいよ。保乃せっかく学級委員長なんだからさ。」


田「………そっかぁ…」



そんな彼女に保乃は入学式の時から普通に話しかけていて、今みたいに「関わらない方がいいよ。」なんてことを何回も言われた。


………学級委員長やから、ねぇ……


それとなく立候補した学級委員長やけど、いつの間にかクラスでは『保乃=優等生』という認識がなされていた。

別に成績が飛び抜けていいわけでもない。
むしろ逆。


それなのに『優等生』というレッテルが貼られているんやから、学校って不思議。


















ある朝のことやった。

今日の時間割なんやっけ……なんてのんびり登校していたら。



田「痛っ、」


男1「いってえ!!おいどこに目つけてんだあ!?」


田「すいません……」


男2「ん?よく見りゃなかなか可愛いじゃん笑」


男3「ねー、学校なんて行かないで俺たちと遊ぼうよ笑」


田「え、いや、大丈夫です……」


男3「あ?誘ってやってんだから来いよ笑
ノリわりぃなー笑」


男1「君、なかなかいい身体してるじゃん笑」


田「ひゃ……や、やめてくださっ」


男2「うわやば。興奮してきた笑」


男3「この子で楽しいことやっちゃう?笑」


男2「いいね〜笑」


田「やだ、やだっ!誰か……っ!」



不良たちの思うがままに身体をまさぐられ、最悪の事態も覚悟したその時。





森「お前ら何してんの?笑」


男2「は?お前だれ………」



聞き覚えのある声がした、と思った時には地面に倒れている不良の姿が見えた。

保乃の身体を触っていた2人の顔がますます青ざめていく。



男1「や、やべえ!!」


男3「に、逃げるぞ!!」



森田さんに殴られたのか、左頬が腫れている男を抱えて不良たちはあっという間に逃げていった。

その様子を呆然と眺めている間にも、森田さんはさっさと学校の方へ歩き出していた。



田「……あ、あの!」


森「………」



森田さんは棒付きキャンディーをコロコロともてあそぶだけで、保乃の方には見向きもしない。


それでも走って、小柄な彼女の肩を掴んだ。



田「なあ!」


森「なに?」


田「あ……さっきは、ありがとう。」



森田さんは何も言わずに、私の手を振り払って行ってしまった。




田「…………森田、さん。」





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気づいてくれてたら嬉しいんですけど、
Dead endのるんちゃんイメージしてます


続きます。