私は、毎朝新聞を読むのですが、1番楽しみなのは新聞小説です。
今は、今村翔吾さんの『人よ、花よ、』が連載されており、あと、1週間ほどで終わります。
新聞小説は、だいたい一年前後の連載が多い中、なんと一年七ヶ月もの長期間に渡って連載されました。
この作品の時代は南北朝時代。主人公は楠木正成の嫡男、楠木正行。
日本史が苦手、特に南北朝時代はちんぷんかんぷんの私は、連載初日、楠木正行の愛馬、香黒のシーンから始まった時には絶望的な気持ちになりました。
話が全くわからん、、、
正直に言えば、つい最近まで登場人物がちっとも覚えられず。
どれほど読み進めても、登場人物が南朝側なのか北朝側なのか分からない。唯一の救いは、この小説の舞台が、自分がかつて住んでいた地域だったので、地名だけは理解できたこと。
さて、そんなちんぷんかんぷんのまま読み進めて、やっと面白くなりだしたのがつい1か月前くらい。
多聞丸(楠木正行)の見事なまでの戦法で北朝側を攻めるのですが、中でも《花陣》という戦法がカッコよく、いつの間にか多聞丸のファン、というより、推しに近い感情が湧いてきました。
今日に至っては、絶体絶命の危機を翻す多聞丸に、朝から拍手を送ってしまいました。
話は飛躍しますが、最近の新聞小説で1番面白かったのが、多和田葉子さんの白鶴亮翅。連載最終日の内容が意表を突いたもので、全般的に難しい内容の小説でしたが、最後まで読んで良かったと思えました。
過去の作品での最高峰は、吉田修一さんの国宝。
歌舞伎の世界を描いた作品ですが、特に最終話が圧巻、というより想像もつかない終わり方で、新聞小説を読みながら泣いてしまったのは初めての経験でした。
今でも銀座の歌舞伎座の前に行くと、最終話がまざまざと思い返され、呆けてしまった主人公喜久雄(花井半次郎)が、歌舞伎座前の路上で舞う姿が目に浮かび泣けてきます。喜久雄は今でも私の推しです。
話は戻りますが、人よ、花よ、もあと1週間で終わり。南朝側の多聞丸が、北朝とどのように和議を結ぶのか、はたまた奇想天外な結末が待っているのか、もう一人の私の推しの最後が、今から楽しみで仕方がないです。
にじいろ音楽室
馬場利英
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