ボイストレーニングのレッスン中に、生徒から《アンザッツ》について質問を受けました。
アンザッツは、3大ボイストレーナー(と言われる)の1人、フースラーが提唱する歌唱理論。アンザッツとは(声を置く)という意味になります。
私は、このアンザッツ理論を初めて知った時、目から鱗が落ち、ここのボイストレーニングでも取り入れようと勉強を重ねて、しばらくはアンザッツ理論をもとにボイストレーニングを実践させていただいていました。
が、次第にアンザッツ理論へのこだわりは減ってきて、今は、アンザッツ2番の強化のためのトレーニングのみになりました。
※ちなみにアンザッツ2番の強化は、アンザッツ理論では、《声を治すための、最も基本的な出発点である》と述べられています。
なぜ減ってきてきたのかと言うと、私は、同じく3大ボイストレーナーの1人、チェザリーの言葉、《自然に歌う》ことがボイストレーニングの真髄だと思っており、アンザッツ理論だけでレッスンを進めると、おそらく自分の勉強不足も相まって、《自然に歌う》ときに、ひずみを感じるようになったからです。
さて、自然に歌うとはどういうことでしょう。
それは、なんにも訓練せず、好き勝手に歌うことではありません。
自然に歌うことは、《不自然》な訓練、つまり、それまで体験したことのない発声訓練を経て掴むものだからです。
不自然を通過するから、自然が分かる。2極を生きる私達は、不自然を知って、本当の自然を知る、不自由を知って自由を知るんだなあ、なんて特殊なことを考えてしまいました。
にじいろ音楽室
馬場利英
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