ボーカルレッスンで、滝廉太郎の『花』を聞かせていただきました。
『花』を聞くと、必ず思い出す風景があります。
それは、もう四半世紀も前ですが、ちょうど桜が満開の時期に東京へ旅行に行ったときのこと。
上野にある東京芸大の奏楽堂で、滝廉太郎の『花』の自筆譜を見た後、浅草からお台場まで水上バスに乗り、隅田川から満開の桜を眺め、水しぶきがキラキラ輝くのを見て初めて、『花』に出てくる
櫂(かい=オール)のしずくも 花と散る♪
という歌詞の意味がサーッと理解できたような気持ちになれました。
そういえば、昨日の演奏会で聞いた、ベートーヴェン作曲の交響曲第6番『田園』も同じ。
学生時代に何度か演奏したことはあるのですが、打楽器奏者(私)の出番は第4楽章のみで、ちょっと退屈な曲だなあと思っていました。
が、ウィーンのハイリゲンシュタットに行った時、田園交響曲を書くための構想を練るため、ベートーヴェンが散歩していた道を自分も歩き、のどかなワイン畑を眺め、ドナウ河を望む高台に立ってやっと、少しだけ曲への理解ができた気がしました。
思えば、私はずいぶんあちこちを旅してきました。
今、こうしてブログを書きながら思うのは、20代、30代の頃は、ずいぶん旅行にお金を使いました。行きたいところに行き、見たいものを見てを、食べたいもの食べて、ずいぶん遊んだなあという事。
でも、四半世紀の時を超えて、旅の思い出が即レッスンに繋がったり、平凡な日常が潤ったり、旅は実に楽しい自己投資だったなあと、改めて思います。
にじいろ音楽室
馬場利英
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