
歌のレッスンの中で、
『気持ちを込めて歌って』
とか、
『感情を込めて歌って』
と要求することは、ほぼ無いです。
感情を込めて歌うのではなく、歌詞に描かれている世界に没頭し、真剣に歌ったときには、自然と感情が《入る》ものだから、こちらから要求することでもない、と思っています。
が、例外もあります。
それでもいい
それでもいいと 思える恋だった
という歌詞から始まる歌のレッスンでは、音程やリズムを整え、通して歌えるようになったら、
『それでもいいと思える恋って、どんな恋だと思いますか』
という質問から始まって、どんどん歌詞の世界に引き込んでいきます。
そうすると、感情に沿って自然な抑揚や強弱が生まれ、さらに質問を重ねていくと、自分の過去の経験や、浮上してきた過去の感情と歌が結びつき、歌がまるで生き物のように変化していきます。
さらに、高音が続くサビ以降のフレーズを、本気で(大きな声で、とか、一生懸命に歌う事ではない)歌い始めた時、生徒は、
私が《歌う》
から
私が《歌になる》
に変化していきます。
そんな歌を歌う生徒自身は、自分が《忘我》の状態にいる事を分かっていないと思いますが
366日
(画像はお借りいたしました)