約2年間、毎週熱心にレッスンに通ってくれる生徒さんのレッスンをした時、
『2年通ってやっと、ここでやってきた発声法のことが、少し分かってきました』
と言ってくれました。
その生徒さんは、ずいぶん前から頭では理解できていたのですが、ここ最近、身体でも分かってきたようです。
発声後の歌のレッスンでは、胸声、中間の声、頭声、その他の様々な声を使い、それを歌の中でどう使い分けるか、
この歌詞には、どの発声が、どの声が相応しいか、
この歌手は、このフレーズを胸声で歌っているけど、自分も同じように胸声で歌いたいのか、はたまた歌詞の内容を考えて、もっと繊細な声で歌いたいのか、
など、手に入れたバリエーション豊かな《自分の声》を使って、表現の段階のレッスンをしていたら、
『ああ、歌っていて楽しいです』
と仰る。
この段階に至るまでに、諦めてしまう方もいます。
自分が慣れ親しんできた古いパターンに戻ってしまい、その慣れ親しんできた方法で安心してしまいます。
私は、どんな声で歌おうと、《自由》にのびのびと歌えれば十分だと思っています。
レッスンに通う前の方が、自由に歌えていた生徒さんもいただろうなあと思います。
でも一方で、窮屈な思いをし、わざわざ不自由な歌い方や、良く分からない練習をし、長い時間をかけて、一周回ってまた《自由》に歌えた時、
今までとは種類の違う自由を
自由に歌う喜びを
感じていただきたいと願いながら、日々のレッスンを行っているのです。