大学生の時
ピアノレッスンを
担当してくださったのが
芸大の大学院を卒業されたばかりの
若い男性の先生でした。
レッスン初日に
課題曲を2曲
言い渡されましたが
数回で飽きてしまい
先生の言うことは聞かず
自分の好きな曲ばかり
やっていました。
ピアノレッスンは
2年次まででしたが
お願いして
卒業までレッスンしてくださる
約束をしてくれました。
3年生の時は
ピアノの試験もなく
呆れるくらいダラダラした
レッスンを続けていましたが
教員採用試験で
ピアノ弾き歌いがあると知った途端
弾き歌いの曲を
レッスンに持ち込み
声楽専門ではない先生に
歌唱指導までお願いし
滝廉太郎の『花』や
中田喜直の『夏の思い出』などを
ちゃっかり
教えていただきました。
最初は恥ずかしがって
絶対に歌っては
くださいませんでしたが
小声で自信なさげに歌う
私に業を煮やし
《こう歌って》と
先生がものすごく大きな声で
模範唱してくださいました。
加えて
採用試験で弾く
ピアノ曲の相談をしたら
『ショパンのバラード3番』と
きっぱり言われ
初めて先生の言うことを聞き
難曲に挑戦しました。
難しすぎて
最後まで弾けなかったですが。
4年生の最後のレッスンで
先生に教えていただいたのが
ショパンのワルツ13番でした。
馬場くん
この曲は《対話だよ》
とアドバイスをくださいましたが
右手と左手の対話が
ちぐはぐなまま
レッスンが終わった記憶があります。
やんちゃな生徒を
決して投げ出さず
最後まで面倒見てくださった先生
元気にされているかな。
今日のレッスンの中で
ショパンのワルツの話が出て
先生の事を思い出し
《対話だよ》という言葉を
今更ながら
しみじみと味わっています。
先生が4年間かけて
この生意気な生徒に
実に根気よく
教えてくださったのは
もしかしたら
《対話する力》だったのかも。
以前このブログで
とんでもない生徒のことを
書きましたが
彼のレッスン風景は
22歳の自分より
幾分マシだったかもしれない。
ショパン作曲
ワルツ13番 変ニ長調
ピアノ:リパッティ