狭い道を
自転車で走行中
向かいから来た
同じく自転車に乗った
年配の女性と
すれ違った
彼女がふわっと
よろけそうになったので
咄嗟に
『ごめんなさい』と
言葉が出たのだが
それに対する返答が
『恐れ入ります』
であった
たった2秒ほどの
『恐れ入ります』であったが
落ち着いたテンポ感
低めだが聴きやすい発声
言葉を発するまでの “間”
控えめな抑揚
その全てが
まるで歌のようであった
世界一短い
うっとりするような
素敵な歌を聴かせてくれた
その女性の声が
今でも心の中で
リフレインしている