甘汁が滴る
いい女
初めて《サルビア》を聴いたのは
学生時代
声楽科の友人が歌った時
だっただろうか
冒頭一小節目から
荒れ狂うような
ピアノ前奏に続き
サルビアの赤色を
血の色と歌った
日本歌曲の名曲
サルビアを見ると
この曲を思い出し
激情型の恋をする女性を
勝手に妄想しつつ
全く別の思い出も
蘇ってくるのである
仕事の研修で
この曲の作曲者
中田喜直さんの講演会が
催された時のこと
尾瀬を謳った《夏の思い出》や
《めだかの学校》
《小さい秋見つけた》
などの愛らしい童謡ほか
たくさんの歌曲を創った
この方のお話が聞けるのを
どれほど楽しみに
していたことだろう
研修当日
勇んで会場に向かい
少し早めに到着した会場前で
公衆電話を見つけ
吸い込まれるように
ボックスに入り
そのまま職場に電話をかけ
仮病を言い訳に
サボってしまったのだ
真面目だった自分が
なぜ突発的にそんなことしたのか
今でも良く覚えていない
しかし
自分の中の
今までにない《血の色》に
少しゾクゾクしながら
受話器を置いた感触は
今でもうっすらと
覚えているのである
★にじいろ音楽室★
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