学生時代 

私の担当助教授が

世界的なマリンビストの音楽について

あの方は良い枯れ方をしている

と表現されたことがある

 

そのときは良く判らなかったが

私も歳を重ね

その言葉の重みや深さを

少し理解できるようになり

また

実際の枯れた音楽を味わう

という経験を通して

最上の褒め言葉だとすら

思えるようになってきた

 

イダヘンデルのブルッフの協奏曲は

もう10年以上前に

大阪のフェスティバルホールで

聴く機会を得たが

今思い返しても

素晴らしい枯れ方をした演奏であった

 

音楽を奏するということは

自分が身につけてきたものや

経験したことすべてが

反映されることであり

それ以上のことも

それ以下のこともできないのである

 

だから

飾らない

今のままの自分で

丁寧に音を 言葉を紡ぎ

空気を通して

心地良い振動を

聞く人に届けるだけなのである

 

若さあふれる表現

勢いのある表現

大輪の花を咲かせたような表現

 

熟成期間を経て

朽ち枯れ 

やがて

終末を迎える

 

今朝

ベランダに置いてある

葉が一枚も無く

雪に埋もれかけたライラックを見て

ふと思う

 

季節が巡る

人生が巡る

 

刻々と時は流れ

流れに身を任せて

歳を重ねるってことは

案外いいかも って。

 

 

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