香り(プチ怪談) | Omnia vertuntur ~万物は流転する~

Omnia vertuntur ~万物は流転する~

気づけば作家になれていましたが
小説家ではありません。
たまにトークショー、たまにイベント企画。
そして、雑誌のグラビア企画なんかもやってます。

お盆も近いし、あまり怖くない怪談をひとつ。

昨日、なぜかえらく疲労困憊で帰宅。
暑さにデロデロになりながら、お風呂へ直行。

カラダを洗っていると……
なんとなくリビングに誰かがいるような気配。
物音、足音がなんとなくする。
猫がたてる音とも少し違う。


マンションの一室で、鍵は万全。
誰も居ないはずなのに。


気のせいだろうか?と思いつつ
髪を洗い、リビングに戻ると……。

ハッキリ私のつけているものではない
香水の残り香が。

あ、そうか……と納得。

この香りは、昔の知り合いの香り。

昨日は、命日だった。

その人が好きだったスイカを切って食べた。

姿を見せてくれればいいのに
ただ香りだけ残していった。

あの人らしい現れ方だなと、しみじみ。

あの世とこの世は、どこかとても近い……
接している……重なっている……ような部分があるような気がする。