↓このはなしの続きだよ!

 

 

 

夜はそのまま父の病院へ。

先生から病状の説明があるということだったが、行ったら先生は処置中だった。

昨日の手術の話、おなかの中でなにが起こっていたのか、今後どういったことが起こり得るのかについて。

電話できいて理解したままだった(作図は本当に理解の役に立つ)けど、

直接先生と話せるのはかなり良いね。

 

なぜ再建臓器を切り取った後の吻合部が壊死してしまったのか、

先生は自問自答しているようだった。

血流が行かなかったのだと思うが、術中に確認していたのに、とか

こうなってしまって手術しないほうが(つまり放射線化学療法のほうが)よかったのかもしれないとか、

いや術前化学療法で完全奏効しなかったから切除が最適解だったはずだとか、

振り返っている様を隠さないのが彼のスタイル。

 

でも私は切ったのは良かったはずだと思う。

消化器は清潔にたもつことができないから難しい。しかたない。

いったんストーマにしたのは安全策であるし、

やれるだけのことをやっているはずだ。


病理が出るのが2週間後ってことだから、峠を越して回復期に入りつつ病理の結果を聞いて、

次の手を考える、というのが最善のストーリー。

このまま腹膜炎になって多臓器不全になり、腎臓なり肝臓なりがダメになるというのが最悪のストーリー。そうしたら抗がん剤はできないし、放射線もきつくなる。

「今の状態は、もう大丈夫ですよとも言い切れないし、絶望するようなものでもないというところです」

と先生は煮え切らないが、

要は容体がどう転ぶかわからない急性期ってことだろう。ここは本人の体力でがんばるしかない。

体力があるんだからだいじょうぶでしょ、って言ってたって伝えてください、と言って帰った。

HCUに入っていて面会もできないのだから、

そんな伝言くらいしかできることがない。

 

先生との面談が終わるころ、不動産屋さんから電話がかかってきた。

先生にことわって電話に出る。

連絡を待ってくれていたようだが、もう仕事を終えて帰るという。

夜遅いから仕方ない。

そこで、その電話で契約を取りやめたい旨を伝えたところ、

「そういうことですよね。わかりました」

と言ってくれて、特に違約金や解約手続きなどなく、破棄してもらえることとなった。

 

良心的で、助かった。

それにたぶん、あれじゃあ逃げても仕方ないよな、と彼もあのおばさんの件について思っているはず。

 

そして私は、以前問い合わせしていた物件にまだ興味がある、ということを

また別の不動産会社に意思表示した。