行く道、通る道

郵便局にいきしな、

老人ホームに入った夫婦の家の前をとおった。

「おっちゃん、帰ったが・・」

「帰らんがで、マア、入んなはいや」

「元気なが・・」

「元気やないわい

家が一番エエわい」

「帰ってきなはいや」

「帰っても、わし、炊事ようせんもん。

母ちゃんがようせんじゃろ」

「ホントよな・・私で良かったら、してあげるで～」

「そんな分けにもいかんしの・・」声はとても、寂しそう

片付けされてない

ほこりの部屋にポッンと座っている。

「連休、はや、終わったの」

隣のおばちゃん

「天気良かったけん

おっちゃんと、旅行でも行ったら良かったのに」

「あらから、行かん行かん！

こうやって、あんたとおさうって、

喋ったほうがエエもん」

しばし、あれや、これや話す。

親戚のおっちゃんとこ、寄る。

「よう、来たのお茶でも飲めや」

すぐに、おばちゃん

お茶入れてくれる。

「さむて、まだこたつ

よう、しまわなや」

「梅雨が明けてからで

いい事よ」

「のめや」

「お菓子も食べてやんなはいや」

「ありがとう」

お年寄りとの会話は、いつ、腰あげようか、

迷ってしまう。

「持って帰って食べや」

手渡された袋

「こがいに、もろて・・」

「かまんがよ、食べてや～」

どの人も、話しだすと長いのは、寂しさの裏返し

私も、行く道、通る道