先週末に白浜のパンダ一家の見納めに行き、今週はその疲れをかなり引きずっていた。


一泊二日で行ったこと、良浜に会うために蒸し暑い中を3時間弱並んだことがその原因である。日ごろ運動不足なせいか、年齢のせいか、疲れがなかなか抜けない。


パンダに興味がない人からすると、3時間も並ぶなんて狂気の沙汰でしかないだろう。しかしパンダ好き界隈では時々起こることで、昨年の上野の親パンダリーリー&シンシンの見納めの時もそうだった。


3時間は長い。

飛行機ならば沖縄や台湾、グアムなどへ行ける時間である。飛行機であればその間にトイレも行けるし、食事もできる。それに寝ることもできる。


パンダの観覧待ちはそうはいかない。立ちっぱなしで離脱できない。映画も似たようなもの。


どうしても無理ならば途中離脱して一旦出て行くことも出来なくないが、周りの人に「すいません、ちょっと抜けさせてください…」とコソッと声をかけねばならないし、戻るまでの間に状況がどうなっているかわからず戻る時に戸惑う。だから極力途中離席はしたくなく、パンダも映画も3時間コースのものは事前に相応の覚悟がいる。


2時間半までは我慢できても、3時間となるとちょっと迷いが生じる。この「3時間の壁」は自分以外もあるのではないかなぁ。


パンダで3時間弱並んでクタクタになり、その疲れを癒したい週末に、大して疲れが取れぬまま私は再び3時間の壁にトライした。


それはこれ


https://kokuhou-movie.com/



今話題の映画「国宝」だ。


吉沢亮さんが主演、横浜流星さんが準主演の映画で、東宝系映画館に行くたびに宣伝が流れるので前から気になっていた。しかし3時間あるというので劇場で見るか否かを迷っていた。


これはヤクザの組長の息子として生まれ、抗争で父を亡くして有名歌舞伎役者花井半二郎の家に引き取られた喜久雄(吉沢亮)と半二郎の跡取り息子の俊介(横浜流星)の話。


二人が切磋琢磨し芸を磨いて成長していく様、やがて生じる親の名を継ぐのは芸なのか、血筋なのか?という問題。歌舞伎という特殊な世界に生きる人間の人生、苦悩を描いている。


ネットで見た映画の感想に「ガラスの仮面」と通じると書いている方がいたが、まさにそれだと思う。二人の関係は北島マヤと姫川亜弓のようだし、厳しい師匠半二郎は月影先生のようだ。一つしかない席を目指していく姿であるとか、持つものと持たざるもの、互いが自分の持たない相手の持つものを羨み、切実に求める気持ちがあれと似ている。


自分はガラスの仮面に加えて「ゴッドファーザー」な要素も少し入っているように思った。マフィアのファミリーも血筋を重んじるし、誰が後を継ぐかが重要になる。正当な血筋でも受け継ぐものに力量がなければ組織が立ち行かず、後ろ盾のない者が継ぐ場合はさらに難しい。親分を失った後に家名やその力を維持するという重圧は半端ではない。



語彙力がないのでうまく表現できず、具体的な内容は書かないが、久々にすごい映画を観た気がした。主演のお二人の演技と美しさが素晴らしく、見終わった後もずっと余韻が続く。


単なる若手イケメン俳優と軽く見ていた自分を恥じるほどこのお二人の力演に魅了され、二人が劇中で演じる曽根崎心中のセリフ「死ぬる覚悟が〜聞き〜た〜い〜」が頭から離れない。曽根崎心中はこの話の重要な演目だ。




曽根崎心中の神社 お初天神

大阪へB'zのライブを観に行った時に立ち寄った


軽く立ち寄った数年後に、映画の曽根崎心中で心奪われるとは思わなんだ…

(||゚Д゚)




二人の師匠、先代花井半二郎を演じる渡辺謙さんはさすがの演技でその存在感がすごい。人間国宝の女方である万菊を演じる田中泯さんもすごい。劇中のセリフじゃないが「バケモンやで…」という感じ。万菊の振る舞いや話し方が段々と美輪明宏さんに見えてきた。美輪さんもある種バケモンであり、人間国宝みたいなもんだよね。


原作を読んでいない、歌舞伎の知識がない、私のような人間でも楽しめて、3時間があっという間に感じる濃さだった。


歌舞伎の知識がなくとも主演のお二方や歌舞伎の舞台の美しさはスクリーンで見る価値があると思うし、3時間かける価値も大いにある。


観てみたいけど3時間て悩むなぁ、配信まで待とうかな…なんて言わずにぜひ劇場へ。二人の白塗りの美しさはスクリーンで観てこそですよ。高画質の大画面に負けないのですから。


そういえばパンダ仲間のAさんとも話題になったが、大福を食べるとそれに水分が吸収されて尿意が抑えられるとか。これはネットで見た情報で真偽は定かではないけども簡単なので試す価値はある。


自分も次の「3時間の壁」の時に試してみるつもり。さて、次の3時間の壁はなんだろうなぁ。



映画を観た帰りに原作をポチり、読み始めました。

小説と映画は違って当たり前。

別物として楽しみます。(*・ω・)