年明けから職場に新しい派遣さんが来た。
私よりもだいぶ年上の方だ。
氷河期世代の採用抑制、リーマンショックによる人員削減、そして少子化の影響で、わが業界は後継者不足が深刻で、派遣を入れる場合も若者は滅多にこない。どの業界も同じかもしれないが。
面接で経歴書を見てスキルを確認し、大丈夫そうだと上が判断しての採用なのだが、なかなかどうしてその方の仕事が進まない。昨年私が苦心したように、その方も新しいソフトを覚えることに難儀し、少しずつ慣れても実作業の進みが今ひとつ。
経歴書の経歴だけを見ると素晴らしく、経験も長くて豊富なはずなのに。◯◯は分かりますか?△△はできますか?と確認して、「できます」と仰ったことが出来ておらず、毎週行われる進捗確認で上司がだんだんピリついてきた。(派遣さんと私は同じ案件を担当している)
話が違う、あれじゃ詐欺に近いと不満げで、次の更新をされるか怪しい雰囲気になっている。これは派遣の人を雇う際のあるあるで、とても難しい、悩ましい問題だと思う。
〇〇ができますか?
の「できる」の基準、こちらが求めるレベルとご本人が考えるレベルの違いがあるからだ。どの程度の「できる」なのかのズレが大きいと、こういうことが起こる。
人は自分が知らないことはできず、その仕事の奥行や難易度がどの程度かを知らなければ、「できる」と思ってしまう。それは仕方がないのかもしれない。知らないのだから。自分の仕事の場合、外国人や経験の浅い人ほど「できる」と自覚しがちで、自己評価が高め。そこはこちらも分かっているので、そこを加味して判断ができる。
問題はそれ以外の、ある程度の年齢、キャリアのある人の場合である。採用に際して、経歴書に書かれた経験年数、資格、過去の職歴や経験現場がビッグネームだと、「できる」ように見える。しかし本当に大事なのは、その人がそこで何をしていたかだ。
経験年数が長く、大きな会社にいたとしても簡単なことだけしかやったことがない場合もあり、それを採用面接でわざわざ正直にすべて自白する人はいないだろう。「私あんまりできないんですよー」なんて言う人は見たことがない。
故にその人がどんな仕事をしていたか、面接の短い時間ですべて聞き取ることは不可能で、その日のうちに採用可否を決めろと言うのはまるで丁半博打のようだ。
「できる」に対する判断はその人の自己評価にも左右され、自信満々タイプは堂々と「できます」と言うし、自己評価の低い人だと、結構できるのに「あまりできないかもしれません…」と遠慮がちに言う。後者の場合はいいが、前者だと採用後に困る。
私は今、上司と派遣の方の間に挟まれてしんどい。人件費はタダではなく、「できる」人を雇うとその人件費は高いのだ。上司はその人のことを高い、金額に見合った仕事をしていないとご立腹だ。派遣会社というのは金額設定を高くするよううまく書類を作り、その中抜きで利益を得る嫌な社会システムだと思う。
正社員だと簡単にクビにできない、派遣を使うことで人員調整をしやすいから高いにしても、中抜きの金額はなかなかなもの。派遣営業のイケメンの人件費は、派遣されている方の給与から出ているのよなぁとしみじみ眺めてしまう。
私も昔、正社員で働く会社から他社の現場に出向していた。その時に「高い」を言われると本当に嫌だった。同じ現場で働く人からは全然そういう評価ではないのに、その上の人が明細だけを見ると外注費が高かったらしい。当然この時も私自身の給与は多くなく、会社が吸い上げていたんだけど。
高いを言われた経験があるからこそ、派遣さんの気持ちは分かる。そして上司が高いと言うのも分かる。人って、立場が変わると言う側の気持ちも分かるのよね…
そんなこんなで、このところストレスが半端ない。
ストレス発散しなくちゃなぁ