肺塞栓血栓症および深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)で入院した私。
ICUにいた際はずっと「ヘパリン」という血液凝固を防ぐための点滴を受けていました。一般病棟に移動した際に点滴の投与は終わりましたが、太い点滴の針を一週間も刺していたので、注射針の跡が腕に残り、それは数ヶ月間消えませんでした
一般病棟ではこれといった治療は無く、朝晩の服薬のみ。血栓症の治療の薬は「ワーファリン」という物を飲んでいました。抗凝固薬、つまり血液が固まるのを防ぐ作用がある薬で、心臓疾患のあるお年寄りなどがよく飲んでいる「血液サラサラのお薬」と呼ばれる物と同じだと思います。
病室に院内薬局の薬剤師さんがきて、薬の説明をしてくれました。ワーファリンは血液が固まってまた血栓ができないようにするための薬であり、様子を見ながら量の調節する必要があるとのこと。飲み始めてから効果が出るまでに何日か掛かるので、薬の効き具合の確認をするために数日おきに血液検査を受けていました。
この薬の性質上、服用中は出血しやすくなるそうです。例えば歯磨きで歯茎を傷つけた時や女性の生理、痔などでも出血が増えるとか。出血が増えると身体が貧血になってしまうので、この薬を服用している間は毎月血液検査を受ける必要があるのです。私は半年ほど通院しましたが、薬の量は主治医の判断で時々増減されました。
またこの薬には禁忌事項があり、それは納豆を食べてはいけないということ。青汁やクロレラもダメ。それらが薬の働きを阻害してしまうのです。
私は入院するまで納豆が好きでも嫌いでもなく、あれば時々食べる程度でしたが、人間とは不思議な物で絶対に食べられないとなると食べたくなるのですよ。お寿司の納豆巻きだけは元々好きだったので、退院後にスーパーのお寿司コーナーを眺めては時々悶々としていました。
入院生活は薬を飲む事と時々検査を受けるぐらいしかやる事がなく、とても退屈。病棟内を歩く許可は得たので、洗濯をしに行ったりして暇を潰していました。
一般病棟に入り三日目ぐらいにやっと入浴の許可が出て、一週間半ぶりに入浴。ICUで一度髪を洗ってもらったものの、流れるお湯で身体を洗うのが久しぶりで感激の余り泣きそうでしたよ。髪は一度洗いでは頭皮が全然スッキリせず、ニ、三回シャンプーしました。
身体には入院当初から心電図がずっと貼られていて、お風呂の前に機械を外してもらいましたが、電極を貼る粘着シールの跡が肌に張り付いてしまっていて洗っても洗っても落ちませんでした。入浴後は再びシールを貼られ心電図を付けるので、これ以降は無理に擦るのをやめました。
お風呂に入れたことで、やっと人間らしさを取り戻せた気がしました。地震などの災害で被災され、避難生活をする方もきっと同じような気持ちでしょうね。突然に寝床が変わり、生活が変わるのは心身ともに疲れます。
何度も繰り返してしつこくなってしまいますが、お風呂に入るという事さえ「当たり前」ではないのです。毎日お風呂に入れるのはとても幸せなんですよ。
入院生活日記、まだもう少し続きます。