人生で初めて感じる謎の体調不良。

気力を振り絞り、必死の思いで帰宅した私は、心身が疲弊しており早々と就寝しました。

翌朝は普通に目が覚めましたが、脈は相変わらず少し早いまま。発表会などで緊張している時のようにドキドキとした感じが続きました。とはいえ、昨夜職場を出た時のような早鐘のような鼓動は収まっています。

土曜日なので大きな病院はやっておらず、家から近い、偏頭痛の薬をもらいに通っているかかりつけの内科のクリニックへ行きました。歩いても行ける距離なんですが、坂道を歩きたくなくて夫に車で送ってもらいました。

内科では昨夜の症状を医師に伝えました。
仕事終わりに帰ろうとした際に急に血の気が引いた事、頻脈が起きたこと。そしてその症状が、母親が患っているパニック発作によく似ている気がした、と伝えました。

病院の問診票に服用している薬を書く欄がありましたが、ピルの事を書きませんでした。薬、という概念がこの時に頭から抜けていたのかもしれません。振り返るとこれが一番の失敗でした。

それを伝えていれば医師もピンとくるものがあったかもしれません。それを言わなかった事、そして母親がパニック障害だということが医師の診断材料になったのだと思います。

この病院の先生は近くにあった元国立病院の循環器科の出身だったと記憶していますが、頻脈を訴えた私に対して血中酸素濃度を測ることもしなかったんですよね。恨んでいるわけではありませんが、もしそれを測ってくれていたら…と未だに考えてしまいます。

医師の診察を受けた後、心電図を撮りました。心電図は特に異常がなかったのですが、担当の看護師さんは「でもなんだか脈が早いですよねぇ」と言って心配してくれました。

そして再び診察室に入って下された診断は、身体の疲れか、心因性の病気、つまりパニック障害ではないかというものでした。私自身もその時はそう思っていたので、ああやっぱり…という気持ちで納得しました。

私がまだ実家に住んでいた頃から母親は時々パニック発作を起こしており、それを見ていた私はパニック障害という診断に特に疑いを持ちませんでした。パニック障害は遺伝しやすいと知っていましたし、ついに自分もパニック持ちになってしまったか…と絶望感を感じました。

その日は「胸がドキドキした時用に」とリーゼという精神安定剤を処方されて帰りました。

「血栓症」などという言葉はこの時には全く知らず、自身の症状は「パニック発作」と思い込んだまま年末を迎えました。