皆様お元気にお過ごしでしたか?前回の投稿からかなり間があいてしまい申し訳ありませんでした。

 

もう年の瀬であると考えると、本当に時間が経つのは早いと感じます。今年は私にとっては特に大きな出来事も変化もなく、まあまあ無難な年であったと思います。来年も体調を崩したりすることなく、今年と同じように仕事をして、たまに友人と会ってリフレッシュするという生活が続けられたら良いなと思っています。この年齢になると、来年も今年と同じ生活を維持できることは幸せなことであり、当然ではないのだと思うことが多くなりました。

 

私はテレビのドラマを視聴することが好きなのですが、2023年のドラマでは、NHKの「大奥」とが印象に残りました。タイトル通り物語の舞台は江戸時代の徳川将軍の江戸城の大奥です。この物語は、赤面疱瘡という若い男性だけが罹る奇病の蔓延により男性の人口が減って世の中に出られなったために、将軍を含めて社会の主軸を女性が勤める、という男女が逆転した世界観のSFです。原作は、よしながふみさんのコミックですが、男女逆転した創作の物語であるにも関わらず、起こった事実については史実にかなり忠実であるのは驚きです。

 

この物語では12代将軍の徳川家斉の時代に赤面疱瘡は撲滅され、男性の人口が増え、社会の主導権は再び男性が握ることになります。原作コミックには、生産活動の主体が男性に移る変わり目で、喧嘩をしている夫婦を見た人が、『「誰のおかげで暮らしていけると思っているんだ」と来たもんだ!私の子供の頃は女がいう事はあっても男が女に言うせりふじゃあなかったものだがなあ』(白泉社「大奥」12巻227ページ)というせりふがあります。男女が逆転しているこの物語の最大のメッセージはジェンダーに対する問いかけであると思いますが、上記のせりふはそれを象徴しているように、私には思われます。

 

生産手段を握っている者は収入があり、それは現実的に大きな力となります。そして昔から多くの場合には生産手段を握っているのは男性であり、その生産手段を維持するための支えとなる家事、育児、介護などを女性が担っています。そして女性の役割とされる営みの多くは無償労働とされています。

 

また男性の有償労働には収入の他に、地位や名誉といった魅力的な副産物も付いてきます。女性は男性程には人間関係において上下を意識しないように思われますが、そういったもの魅かれる気持ちにはそれ程に性差は無いと私は思います。私自身にもそのような指向があることを感じており、自戒を込めて書いています。

 

これは完全に私の個人的な考えですが、男性と女性でやれることの差、能力の差はそれほど大きなものはなく、個人差の方がはるかに大きいと思っています。それを考えると無償労働を期待される女性は損をしているようにも思われます。女性の無償労働は社会的に評価される機会がなく、有償労働をしても男性と同等には評価されないので、有能であるにも関わらず、女性であるために世に出る機会に恵まれない、という状況は現在でもあると思います。

 

しかし最近思うのですが、収入を伴う男性の仕事や活動は社会的な意義が大きいですが、その一方で、人工的に作り出された営みという側面があるように思われます。コロナ禍において高収入とされている仕事の多くが、実際には不急不要であることを感じた方も多いのではないでしょうか。一方女性の役割とされている仕事の多くは、生命としての人間を維持するためのものです。

 

ジェンダー的に男性の役割とされている仕事が行われなければ人類の社会・経済は発展しないでしょうし、女性の役割とされる仕事が行われなければ生物としての人類が生き延びることはできません。

 

その為かもしれませんが、お金を稼ぐ仕事に関わる年齢的な限界は、生物としての寿命と比べてかなり前にきます。勤めている方でしたら、今の社会では一般的に65歳位であるかもしれませんし、自営業の方でもずっと現役というのはなかなか難しいでしょう。生涯現役ということは望ましいでしょうが、他人に対価を要求できる仕事というものは、心身共にしっかりしていないと行うことができません。

 

またどんなに現役時代に高い地位や高い収入を得ていた方であっても、仕事からの引退によりで社会的な立場が変わります。そして仕事中心に生活をされてきた方ほど、それを受け入れることには困難があるでしょう。病院や介護施設において、自分が単なる老人であることを受け入れられない方は男性に多い、という話を聞いたことがあります。私自身60歳を超えて、仕事という社会的な活動から段々と距離ができてくるような変化を感じ、それに戸惑っています。そして、仕事を引退した後にどのような生活を行うか、できるだけ考えておかねばと考えています。

 

それとは反対に女性の役割とされる仕事には、生きている限り必要とされる強みがあると思われます。また所謂「エッセンシャルワーカー」と言われる職種の職場は、男性よりも女性の方が多いでしょう。ですからシニアとなったときに男性よりも女性の方が元気であるということになるのかもしれません。

 

男性が得をしているか、それとも女性の方が得であるか、という話を良く聞きますが、もしかしたら人生のトータルでは同じであり、どちらが得をしていることはないのかもしれませんね。私はこれまでの人生で仕事から満足感を得てきましたが、女性としてのジェンダーに沿った生き方をしていれば、上記で述べたような引退に関わる不安を感じることはなかったでしょう。結局のところ、男性も女性もそれぞれの苦労があるので、お互いの立場を尊重し合って素敵な関係を築くことができたら良いですね。

 

本日もこのブログに来て頂きまして、ありがとうございました。今回の記事を読んで男性の方が不快に思われたならば申し訳ありません。あくまでも私の個人的な考えを書いたものとしてご勘如頂ければ幸いです。