相変わらず不順な天気が続いていますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。

 

これまでのブログ記事ではふれませんでしたが、私は現在の職業についてから、職種は変えずに何回か勤め先を変えました。いわゆる同業他社への転職ですね。私の仕事は資格職であり、職場が変わってもキャリアや経験を持っていける類のものであるので、そのような我儘をすることができたのだと思います。例えば美容師さんは、他の美容院に移っても自分の持っている技術を活かすことができるので、直ぐに前の職場と同じレベルの仕事を行うことができます。それと似たような状況とご理解下さい。

 

転職により幾つかの職場を経験して思ったのですが、人間の集団には普遍的に適用されるルールと、その集団でのみ通用するローカルルールがあるように感じます。日本では今でも職場を変わることは一般的ではなく、新卒で就職した職場で定年まで過ごすことが普通です。そしてそのように過ごされた方は、そのような2種類のルールがあることをあまり意識されないように思われます。転職をすることには苦労が多かったですが、「普遍的なルール」と「ローカルルール」があることの認識できたのは私にとって興味深いことでした。

 

「普遍的なルール」は人間関係の基本的な原則に結び付いており、よって普遍的であると私は考えています。そして人間関係における一番大きな原則は他人を尊重することと、他人がが喜ぶことをすることであるように思われます。


新しい職場に入ったならば最初に、そこでの環境と人間関係に入っていく意思があることを積極的に周囲に示さなければならず、それは「普遍的なルール」であろうと私は考えています。新たな環境を自分が受けいれている姿勢を示すことは、新しい職場の仲間を尊重してその一員でとなりたいという意思表示をすることであり、それによって周囲に安心感を与えることができます。また自分が心から新しい環境を受け入れるためには、新しい環境の良い点を意識的にピックアックする作業をしてみると良いかもしれませんね。

 

また転職をした場合にはどうしても、前の環境と新たな環境を比べる気持ちになりがちです。慣れるまではどうしても、前の環境の良かった点に気持ちが言ってしまうものです。しかしそれを口に出すことは、新しい環境の上司・同僚にとって愉快なことではないので、新たな環境で自分の立場を確立するまで封印した方が無難に思われます。

 

もちろんそのような誠実な態度は新しい職場に入ったときだけではなく、ずっと維持しなければなりません。周囲の信頼を得るのは時間がかかっても、それを失うのはほんの一瞬であると、この歳になると実感しています。そのような失敗をしないためには、様々な場面における自分の言動が立場の異なった人にどのような印象を与えるかを、常に考える必要があります。もちろんそれを実行することが難しいために、職場における人間関係の悩みが尽きないのですが・・・

 

それに加えて、新しい職場が組織として重要視していることは何か、新しい職場における自分の立ち位置はどのようなものであるか、を早い機会に把握できればその後はスムースに行くことでしょう。なおこれは下記に述べる「ローカルルール」を把握することにも繋がりますが、「ローカルルール」を尊重することもまた、新たな環境に受け入れられるための「普遍的なルール」です。

 

 

一方「ローカルルール」は、その集団・職場の個性と結びついている場合が多いでしょう。例えば集団のルールに個人を従わせる傾向が強い職場か、個人の自由度が高い職場かによって「ローカルルール」は異なるでしょう。また成果を重要視する職場か、プロセスを評価する職場によっても「ローカルルール」は異なるでしょう。

 

これは私が経験したことですが、新しい職場に入ったときに、勤務時間内に同じビル内の1階にあるコンビニにコーヒーを買いに行ったために注意されている人を見て、ここは時間の管理に厳しいのだなと思いました。勤務時間内なのでそのような行動は褒められたものではありませんが、その前の職場が時間管理に寛容でしたので少々カルチャーショックを受けました。

 

上記は一例ですが、細かいことを含めて様々な物事に対する感覚は職場によって異なりますが、それは普遍的なルールでは無いと思います。しかしその職場にとっては「普遍的なルール」も「ローカルルール」も同等に重要視されますので、上記でも述べましたが、自分が現在いる職場の感覚を尊重するという意味で「ローカルルール」も重要です。しかしそれが「ローカルルール」であると認識することは有益であり、職場における自分の地位が固まった後ならば、合理性の無い「ローカルルール」を変えることを提案することも有り得るでしょう。

 

日本では一つの場所で頑張ることが良いという考え方が強いように思われます。自分が職場に適応できないと感じたとき、その原因が「普遍的なルール」によるものか、「ローカルルール」によるものかを考えてみることは有益かもしれません。現在所属する場所で上手く行かないならば、どこに行っても同じという言い方を良く聞きます。若い方の場合には経験不足で人間関係のルールを未だ理解していない場合があり、そのようなケースでは現在の場所に留まって自分を見直す必要があるでしょう。しかし私の経験ではそのようなケースは比較的に少なく、その職場の「ローカルルール」に合わないために適応できないというケースの方が多いように思われます。人間はそれ程強くもないので、周囲の環境により発揮できるパフォーマンスは大きく異なるのが実情だと思います。ある場所において冴えなく見えた人が、環境の変化により別人のように生き生きとなるということは多々あると思います。ですから現在職場で辛い状況にある方も、必要以上に悩まないで頂きたいと思います。

 

なお場合によっては、新しい職場に入って1か月とかの短期で、新しい環境が自分にとって受け入れ難いと感じることもあるかと思います。そのような場合には、自分の在り方や個性と環境とがミスマッチしているので、努力をしても適応することは困難であるかもしれません。これはあくまでも私の個人的な経験ですが、そのような場合にも努力しすぎることは、精神に対する大きなダメージを受けるだけで、多くの場合には得ることが無いように感じます。

 

「ローカルルール」の圧が極端に強いというのは、所謂ブラック企業の特徴の一つであると思っています。ブラック企業は「ローカルルール」を「普遍的なルール」のように扱うので、そこでのルールに少しでも違和感を感じる人の人間性を否定し、ひどい場合には精神を蝕みます。どのような職場にも、そこでの「ローカルルール」に適用し易い人も、それが難しい人がいます。まともな職場では、そこでの「ローカルルール」が絶対ではないと無意識であっても認識されており、それに適用できない部分がある人に対しても、一定の許容度を持っているのではないかと考えます。


何だか「転職の心得」のような内容の記事になってしまいました。しかしこれまで述べてきたことは、職場のみではなく、多くの人間の集団に対して適用できると思います。例えば、結婚してパートナーと家族を作る場合とか、核家族で暮らしていた夫婦が何等かの事情により、どちらかの親と共に生活して拡大家族を作る場合などにも同じように考えられるのではないでしょうか。

 

結婚する場合にはお互いの個性を把握したうえで、快適に共同生活を営むための二人のルールを作る必要があるでしょう。また親と同居する場合には、実の親であっても、話し合ったうえで生活のルールを決めてから共同生活を始めるとトラブルを回避できるでしょう。いずれの場合にも、基本的にはお互いを尊重するという「普遍的なルール」に従ったうえで、家族の個性に合わせた「ローカルルール」を作成することになるのではと考えます。

 

私は転職を経験している割には新しい環境に適応するのが苦手であり、人間関係を上手くコントロールできるとはお世辞にも言うことができません。そのような悩みの中で考えたことをこの記事にしましたが、読んでくださっている方の参考になることがあれば幸いです。なおこの記事の内容は完全に私見であることを最後に申しあげます。

 

今日もこのブログに来てくださいまして、ありがとうございました。