9月8日(金)、下記の脇田もなりちゃんのワンマンライブが、渋谷clubasiaで開催された。
参加したかったのだが、TWEEDEESのワンマンライブがclubasiaに隣接するO-WESTでほぼ同時刻に開催され、そのチケットをずいぶん以前に購入済みだった自分は、もなりのライブ参戦を諦めざるを得なかった。
ワンマンライブとは別に、下記のイベントが開催されることをSNSで知った。
記載されているとおり、第一部、第二部、ともに定員25名限定という、かなり競争率の高そうなイベントだったが、ものは試しのダメ元で第一部だけに申し込んでみた。
すると後日、下記の当選メールが送らてきた。
いつもお世話になっております。
この度は脇田もなりのハイボールアワーにお申し込み頂きありがとうございます。
<第一部> に当選しました!
おめでとうございます!
整理番号は <21>番です。
立見となりますがご了承ください。
当日は開始15分前の15:45にMeWe前にお集まりください。
整理番号順に入場していただきますのでゆっくりお越しください。
※近隣の迷惑にならないよう、早い時間から並ぶのはご遠慮ください。
スタッフ一同、お待ちしております。
2017年9月17日(日)
第一部 16時~
料金:3,000円
場所:MeWe 渋谷区桜丘町28-3 恒和渋谷ビル2F
脇田もなりスタッフ
ワンマンに参加できなかった自分、そして自分よりも熱心なファンが多数いらっしゃるであろうから、その二つの申し訳ない思いが先に立ってしまったのではあるが、ここは素直にありがたく、当選できたというクジ運に感謝しつつ、まちがいなく貴重なイベントになるであろう機会を逃さないでおくことにした。
当日は台風18号の接近が報道によって早朝から繰り返し伝えられ、やがてそれが九州南部に上陸したことを知った。
関東周辺が台風から直接に影響を受けるのは夜半頃だということだが、すでに台風は前線を刺激して朝から雨が降り続いていた。
昼過ぎになってもそれは同様で、だがまだ強風を伴ってきてはいなかった。
しかしそんな状況下、家の大黒柱がのこのこと、またもやイベントへ参加するため出かけてゆくというシチュエーションは、カミさんと高校一年生の愚息から理解を得るにはいささか、いや、かなり困難ではなかろかということが容易に予想されたので、それを回避するための苦渋の、というのは言い過ぎではあるが、それでもやや後ろめたさを伴う行為だったので、そして夫としての威厳、父としての権威を守るためにはやむを得ない措置という考えのもと、二人に対しては、「渋谷で映画を見てくる」 と言い残すことにした。
威厳や権威というものをいまも大切にしようとしているなどとは、言葉で伝えてしまえば二人からは一笑に付され、そんなものはとうにすでに散無してしまって久しいことに気がついていないのは己ばかりだと言われかねないのかもしれなかったが、だがそれでもなお、そこにだけはいま少し矜持を保って家庭内を生きてゆきたかった。
そして、こちらのそんな意図はわかろうはずもなく、いや、わかってもらってはかえって困るわけで、二人からの無反応をこれ幸いとして、自宅を後にした。
そして、この判断は誤っていなかったものと現在も確信している。
会場である 「渋谷MeWe」。
当選してからさっそく検索してみたところ、渋谷駅南口、セルリアンタワーの真裏にある路地を進んだところのビル2Fに佇んでいるシャレた居酒屋のようで、その雰囲気の好ましいことは、店内画像からだけでも十分に伝わってきていた。
会場への集合時間は15時45分、渋谷駅のホームに降り立ったのは15時40分。
わずか5分しか残されてはいないところに、副都心線から会場のもっとも至近な地上に出るルートを把握してはおらず、だが渋谷駅は大学4年間に乗降した駅だからそのときの記憶に頼って最適であろう階段を昇ってみると、その記憶は現在の渋谷駅の複雑化した構造には対応しきれなかったようで、そこは東口に片寄った南口だったため、JRのガード下をくぐり抜け反対側の西口にまで行かねばならない地点だった。
傘を差し出して広げ、やや早歩きにそのガード下を進んでいったのだが、このガード下にはかつて、学生時代に何度も打ち上げコンパで訪れた「やまがた」「舟唄」という大衆居酒屋があったのだが、それらも跡形なく消え去っており、渋谷駅再開発事業の進行がここまで及んでいることを知った。
あの頃から数えると三十年ほどが経過しており、時の流れということでやむを得ないのかもしれなかったが、あちらこちらでもはや、かつての渋谷駅を偲んではいけない領域に達しつつある現状を突きつけられ、同時に変貌を続ける東京という街についていけていないという疎外感も微妙に味わった。
南口にある変速五差路の歩道橋を越え、そのうちのもっとも狭い路地を進んでゆくと、途中、左手に分かれた道路のその先で人だかりが見受けられた。
それはいかにもイベントの入場待ちの方々という印象を受け、それに導かれるままにそちらのほうへ足を向けてそこに到着してみると、係の方が 「整理番号14番の方」 と呼びかけている瞬間で、やはりここで間違ってはいなかった。
整理番号順に列をつくり、2階にある居酒屋へ向かう階段で待機する。
21番である自分は、1階の入口付近で待つ。
列が動く気配はなかなかやってはこなかった、それでも時間にして10分程度だったのかもしれない、ようやく動き始め2階に上がる。
通常の営業時にはレジ台なのであろう場所にて、名前を言って参加費3,000円を支払うと、「スミマセン、ここから立ち見になります」 と告げられる。
名簿をチェックしつつ金銭授受も行ったその方は、もなちゃんのリリイべでかならずお見受けするスタッフの方だった。
ここは物販ブースも兼ねていて、持ち込んだグッズの数々が、狭いスペースにもかかわらず見やすく几帳面に展開されており、そんなところからもなりちゃんの所属するVIVID SOUNDという老舗インディーズレーベルが持っている仕事への誠実さと細やかさがうかがえた。
立ち見についてはもちろん事前に案内されていることであるし、立ち見のほうが見やすい場合もあるので一向にかまわなく、立ち見席になるのであろう机の前に進む。
そして、着席できる20名の方々がめいめい適当な座席を確保し終わって、自分のあとに続いた4名が立ち見席の机を囲んだ格好になった。
自分の隣には整理番号22番の方、30歳前後の美しい女性だった。
のちの談話タイムで、立ち見参加者がお互いのtwitterをフォローしあうことになったのだが、その方々は、
赤穂あすなさん https://twitter.com/asnatch
トオル@Sake monariさん https://twitter.com/spinout0628
のびおさん https://twitter.com/fsccore
もちろん、初対面の方々ばかりだった。
そして、店内の参加者の方々をつらつら眺めてみると、自分と同世代かそれよりも下の方々の、落ち着いた良識のある方ばかりの様子、しかも顔なじみの常連が大きな態度で威圧し排他的な雰囲気が生じてしまう状況になることは皆無なようなので、ようやくここで一安堵することができた。
ほどなく、さきほどのスタッフさんが、
「みなさんにお酒が行き渡りましたら、乾杯しましょう」
「お酒は、カウンターで注文してください」
「撮影は、参加者が写り込まなければ写真も動画も大丈夫」
という案内をなされる。
その言葉を聞いて、まずはじめに撮影したのが下記である。
カウンター内部では、もなりちゃんがまさに居酒屋従業員として立ち居振る舞いをしている、そして参加者との距離が圧倒的に近い。
もなりちゃんと重なってしないわかりづらいのだが、黒い衣装と帽子の男性も事務所の方で、もなりちゃんが担当する飲み物以外の、ビールや日本酒を出してくださる。
その左のお二方の前にはターンテーブルが置かれていて音楽ご担当、BGMを流したり、もなりちゃんが歌う際には持ち歌のカラオケを流す。
さて、飲み物を各自が手にしなければパーティーは開幕できない。
ということで、もなりちゃんの前に参加者が列を作る。
前回の「脇田もなりのハイボールアワー!vol.1」 にも参加されたあずみさんからの適切なアドバイスで、ここはやはりもなりちゃんが手ずから作ってくれるハイボールを注文すべきと。
並んでいる方々もすべて、注文はハイボールだったようだ。
自分が列の中で待っている途中、柱に貼られていた本日のタイムテーブル。
光で飛んでしまって見えないようなので書き写しておくと、次のとおり。
16:00 開会宣言~もなりバータイム
16:40 LIVE
17:00 もなりバータイム
17:40 LIVE
18:00 特典会
18:30 終了
自分のすぐ前の方のために、注文のハイボールを作っている最中のもなりちゃん。
これぞ、まさに看板娘である。
事務所の告知文、
「この機会に、脇田もなりが作るハイボールを飲みにいらしてください」
に書かれているとおり、自分もハイボールを注文すると、もなりちゃんがその場で作ってくれる。
まずグラスに氷を入れてグラスの温度をなじませ、次にウイスキーをメジャーカップへ注いできちんと計量し、それをグラスに投入する。
ここで一度、マドラーで混ぜる。
そして、ソーダを適量注いで、最後にもう一度だけマドラーでかき混ぜて完成。
手本通りで、適切な手つき。
このようにして作りながらも、こちらからの質問や会話にきちんと応対してくれるもなりちゃん。
そして出来上がったハイボールを、こちらに手渡す直前にはカメラへ向かってグラスを捧げて、ポージング。
その画像が、こちらである。
どうです、このありがたさ。
こんなことって、世の中にあるのでしょうか!?
いやはや、どうも、恐縮です。
ありがとう、もなりちゃん。
ようやく全員がグラスを手にしたので、乾杯のご発声は、当然、もなりちゃん。
こうしてパーティーが始まった。
しばし、立ち飲みの方々と歓談。
もなりちゃん推しは、もともとペシスト(本年3月に解散してしまっEspecia:エスペシアのファン)だった方がもちろん多いわけで、それも当然。
なぜなら、最盛期には5名いたメンバーのうち、現在も活動を続けているのはもなりちゃんだけなのだから。
そして、自分もそうなのであるがNegiccoを応援しているネギヲタ、もなりちゃんと同じレーベルに所属している星野みちるちゃん、そしてWHY@DHOL(ほわどる)を応援している方々が、兼ヲタとしてもなりちゃんを応援している場合が実に多くていらっしゃる。
だから、もちろん話題の中心はもなりちゃんなわけだけれど、それだけではなくてアイドル界隈のことでお互いに情報を交換し合ったりして盛り上がる。
そして立ち見客の全員で一致したことの頂点は、“もなりちゃんはかわいい” このことである。
そうこうするうちに、もなりちゃんがグラスを手にしてぼくらのところまでやってきてくれ、一人づつ乾杯。
目前で見るもなりちゃん、やはり、かわいいったらない。
そうして、1度目のライブ時間がやってくる。
ぼくら立ち見客の真正面が、その位置。
【第1回セットリスト】
1.IN THE CITY
2.あのね、、、
3.EST! EST!! EST!!!
4.ディッピン
家を出てからここに到着するまで、とても内省的なことばかり感じていた面倒くさい今日の自分だったのだが、そんな気分はもなりちゃんの持ち歌とその歌声、そして笑顔がすっかり吹き飛ばしてくれた。
もなりちゃんの歌声は、ちょっと甘えがかっているからキャンディヴォイスと形容したくなるもので、そしてその声はかなりな高音パートとなってもきれいに伸びていってまったくゆらぎを生じないから、聴いているこちらの耳へは実に心地よく染みとおってくる。
もちろんリズム感覚も確実、そこにもってきて最大の武器は、歌っているときの表情の豊かさ。
その表情のなかでも、もなりちゃんの笑顔は観ているもののココロをとろけさせてしまう威力を持っている。
これらのことを、あらためて間近で感じさせてくれた1回目のライブだった。
2度目のバータイム。
飲み物も2杯目になるのだが、やはりここでも、もなりちゃんに注文するのはハイボール。
食べ物は各自が適当にオーダーし、みなでシェア。
さんまの梅煮、肉豆腐、エイヒレ、鴨の燻製などが机の上に並び、いずれもとても美味しい。
すると、テーブルに座っていた方がトイレに行きがてら、自分へ、
「ブログやってますよね!?」
「はっ、はい」
「なんで、ここにいるんですか?」
と、声をかけられてしまった。
その方は、美味いぞチャーハンさん https://twitter.com/Cold_FriedRice
なんでも、mactakaさんの、「徘徊中年日乗」https://blogs.yahoo.co.jp/mactakamactaka
このブログでmactakaさんと一緒に写っていた画像を覚えていて知られたようなのだけれど、あの画像には顔出ししていなかったはずなので、よくまあ推察されたもの。
そんなこんなでアルコールも進んできて、だんだん良い心地な酔い心地になってきた。
そうしてはじまった、第2回目のライブタイム。
まずは、MC。
身に纏っている前掛け、これはこの日のために本日のDJさんが作ってきてくださったオリジナルだとのこと。誰が見てもすばらしい逸品。
そして、一昨日のワンマンライブでは時間が推してしまって物販タイムが少なくなってしまったので、ぜひ今日は物販をよろしくお願いします、とのこと。
要約すればこのような書き方になってしまうけれど、もなりちゃんの語り口、そのひと言ひとことには、自分の気持ちを正確に伝えて相手に理解してもらいたいという真っ直ぐで篤実な思いの込められていることがよくわかる。
それはやはり、ご本人の性格がまじめで純粋なものによるのであろう。
ぼくらは、もなりちゃんのその性格もどうしようもなく好ましく思えてしまい、だから応援したくなるし、今日ならば、物販のどれかを買って帰ろうという気にもなってしまう。
セールスウーマンとしても、ご本人は気づいてはおられないとは思うけれど、すでに一流。
そんなもなりちゃんなのだし、2回目の、そして本日最後のライブタイムなのであるから、1回目以上に濃厚で充実したひとときだった。
【第2回セットリスト】
1.IRONY
2.夜明けのVIEW
3.赤いスカート
EN.Boy Friend
(セットリストは、ハヤ3ケンさんのツイートを参照しました、どうもありがとうございます)
目の前にいるもなりちゃんのかわいさにうっとりとさせられつつ、そして歌に酔いしれつつ、そしてコールする個所を忘れないよう間違えないような配慮をなんとかかろうじて可能な程度に理性を残しながら、聴き入った。
そして感じたのは、これまで数十人のアーティストの、そしてその様々なライブ会場において熱いライブを体感してきたのだが、それらのものとは一線を画すものが今日の空間には存在していたことだった。
一言でいってしまえば、「神イベ」 と言えるのだろうが、その言葉では終わらせたくない。
小さな会場であるがゆえに、見ようによってはイヤが上にもアラが眼に入ってき、それが気になってきてしまうものなのだが、そのアラにはまったく気づかされなかった。
もちろん、もなりちゃんにはそんなものはなかった。
それだけではなく、運営にもそれがなかった。
場所とお店の選定、タイムテーブルの構成、参加費の設定、いずれをみても適切だった。
そして逆に、ここにおられるVIVID SOUNDの方々の表情と言葉の端々から伝わってきたのは、ぼくらに楽しん帰ってもらいたい、うちのもなりをどうかよろしく、そしてスタッフとしてもなりをなんとか応援してやりたいという 「ホスピタリティ=思いやり・心からのおもてなし」 だった。
それはしかも、けっして露骨ではなく控えめにやわらかく。
そして、これらを無意識のうちにぼくらも感じ取り、ぼくらの一人残らずがそれに呼応して生み出されたのは、今日の空間における親近感と濃密感、そして幸福感だった。
そこにはかすかに、たった25名だけがここにいることができているという優越感、たまたまだけれどえらばれたという選民感も加わっていた。
台風が刻一刻と近づき、窓の外はそれを告げる雨の降り止まぬ中、外部とはまったく正反対な、日だまりの中にいるような心地よいあたたかさがここを包んでいた。
そんな時間にも、終わりがやってきてしまう。
入口の物販コーナーで一瞬のうちに買う物を決めスタッフと授受すると、その隣にいるもなりちゃんにすばやく手渡す。
しかし、もなりちゃんはあわてることなく、自分と視線を合わせながら名前を問いかけ、間違わないよう確実に、それを書き入れてくれた。
VIVID SOUND と赤く印字された小粋な7インチ用のビニル袋を左手に、右手には傘を差しながら往路を戻って渋谷駅に向かう。
歩道橋に落ちる雨粒は来るときよりもその数をかなり増しており、周囲はもはや夜の帳に包囲されてしまって、普段のこのシチュエーションならば憂鬱になりそうなものだし、自宅で待つ家人に言い残してきた出かける理由を察すれば、そこにはさらに後ろめたさがのしかかってくるはずなのだけど、今日にかぎってはまったくその気配は生じてはこなかった。
そのわけを、ここでふたたび繰り返す必要は、もはやない。
夜の闇と傘による視野の遮断が、渋谷駅界隈の工事模様をほとんど消してくれているのも好ましかった。
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