皆さん、こんにちは。
いつも本当にありがとう。 

れいす君は国立の筑駒高校出身。
東大・文Ⅰに一浪で合格しました。

『東大日本史過去問題集』と真剣に格闘してくれた受験生です。
なお、長い記録になっているため、軽量化の観点から文字の装飾などは最低限にしてあります。



 

 日本史だけは試行錯誤を重ねた

 

 自己紹介 
こんにちは。
筑駒高校出身で今年度東京大学文科一類に合格した者です。
野島先生の依頼を受けましたので、合格体験記という形で僕の勉強について少し書かせていただくことにしました。

僕は高3の夏まで東京大学理科一類を志望していましたが、将来の進路について考えた結果、高3の夏というタイミングで文転を決意しました。
現役時には鉄緑会に通い、駿台予備学校お茶の水校で1年浪人し、東京大学文科一類に合格しました。

現役時は社会の勉強が間に合わずに落ちたとよく勘違いされますが、実際には社会は幼少期から得意で、むしろ理系時代から勉強していた英数でミスを重ねてしまった結果でした。

自分の受験勉強の方法が正しいとは全く考えていないのですが、日本史に関してだけは独自に様々な試行錯誤を重ね、全国模試でも一定の成績を出すことができましたので、その経験を通しておこなった様々な分析についてここで共有させていただければと思います。

 東大日本史の特徴 
東大日本史には以下にあげるような他の大学の入試問題にはない特徴があります。

 知識以外の要求水準が非常に高い
よく言われているように、東大日本史は教科書レベルの知識さえ漏れなく身につけていれば知識面で困ることはほぼありません。
2010年以前には資料文が極端に短く完答には比較的高水準の知識を要する問題も存在しましたが、近年は十分な資料文による誘導が与えられるものが多いです。

しかしながら東大日本史には、与えられた資料をどのように答案に反映するかを深く洞察し、知っている知識と結びつけながら合理的な答案を作成することが求められるという非常に難解な側面が存在します。
資料文をただ要約するのではなく、それぞれの資料文で触れられている情報が歴史的にどのような意義をもち、それがどのように結びつくのかを考えなければ、評価の高い答案を書くことはできません。

前に聞いた話ですが、東大の教授は、東大日本史の答案のうち評価を与えられるレベルのものはごく一部にすぎないと考えていると聞いたことがあります。
 

よく東大日本史は知識量が試されることがない、現代文的な、いわゆる「運ゲー」であるという人がいますが、全くそんなことはありません(もちろん現代文も同様です)。
以下に記すように、答案に何が求められているのかを一点ずつ細かく考察すれば、かなりの評価が与えられ、いわゆる「要約」型の答案を作る受験生に対して大きくアドバンテージをとることができると考えられます。

 「聞かれていることに答えられるか」が重要
これは日本史に限らず全ての科目に言えることですが、東大は設問の要求に答えることを何よりも大切にしていると思われます。

例えば、「17世紀前半に、長崎やポルトガル船に対する幕府の政策は、どのように転換したか。島原の乱の影響を考慮しつつ述べよ。(2024東大日本史第3問大意)」とあれば、「幕府の長崎政策の変化」、「幕府のポルトガル船に対する政策の変化」、「島原の乱が変化にもたらした影響」の3点を1対1で確実に答える必要があります。

一見当たり前に思われるかもしれませんが、これができている受験生はまずあまりいないでしょう。
ですから、東大日本史においては、設問文を一言一句落とさずに読み込み、何が問われているのかを自分でまとめ直す、という作業が得点を伸ばす上で本当に大切です。

 高校日本史以外の社会的教養が問われる
東大日本史は、特に近代において高校日本史以前の事項を問うことがあります。

最も顕著な事例は2005年第4問です。
この問題では三権分立という概念を通して大日本帝国憲法と日本国憲法の相違点と共通点が問われています。
そして、日本国憲法における三権分立については小中学校の公民の教科書の範囲です。

このような歴史を考察する上で重要な社会的スキームの理解が欠落しているとこのような問題に太刀打ちできなくなってしまいます

さらに2018年第4問では、教育勅語に関する問題が出題されています。
教育勅語の捉え方に関しては今日でも左右で論争の対象となっていますが、東大はこの問題で戦後教育勅語が国会において排除・失効された理由を問うています。

この問題は僕は東大屈指の良問であると考えています。
なぜなら、この問題は教育勅語がどのようなものかを問うだけでなく、戦前・戦後において天皇が政治的・法的にどのような存在であるかを問うことを通して、「主権」とは何であるかを考えさせ、現代の論争に対してもメッセージを投影しているからです。

 


日頃から社会的な問題に目を向け、何がポイントであるかをきちんと抑えていないと、このような問題に対応することは難しいと考えられます。

このような特徴を抑えた上で、どのように東大日本史を対策すればよいかについて僕が考えたことを以下に記そうと思います。

 東大日本史において現役生は不利か 
よく、社会は現役生に不利であるという言説を目にします。

それには、高校社会が高3冬まで全範囲を終了しないことや社会に知識が要求されることなどの理由があります。

しかし東大日本史においては、適切な対策をおこなうことで現役生でもかなりの点数をとることが可能であると思います。

東大日本史は高水準の知識を要求しないため、教科書部分の知識を完璧にした上で、各時代の典型的なテーマや社会経済的なポイントを集中的に対策し、答案作成のノウハウを学べば点数を稼ぐことが可能だからです。

 予備校の東大模試について 
予備校が実施する東大模試は、入試本番とは大きく隔たったものであることを認識する必要があります。
もちろん、数学や英語・古典の訳のように客観的な正誤がかなり明らかな科目に関しては予備校の模試や採点も正確です。
ですから、データの上においては模試の判定と実際の合否は非常に高い相関を示します。

しかしながら、社会や現代文のような、微妙なニュアンスや論理関係が重視される科目については予備校の採点はかなり微妙であると言わざるを得ません。
予備校の模試は歴史用語や語句に対して点数を与えるキーワード採点を採ることが多いからです(多くの枚数の答案を捌く必要がある模試の特性上仕方のないことであり、文句を言っても仕方がありません)。

一部の予備校講師には、東大模試など重視しないことを推奨する方もいます。
これは過去問の演習を最優先にするべきであるという考えに基づいており、部分的には正しいと思います。
予備校の模試は知識の確認程度に活用し、点数に一喜一憂せずに過去問研究に重点をおくことを僕も推奨します。

 学習について 
複数の日本史の教材を用いた学習方法を紹介します。
参考書それぞれに特徴があり、論述の方法もかなり異なっています。

僕は野島先生の『東大日本史過去問題集』をnoteで購入して主軸として使用しながら、他の予備校が出している解説書も参照して使用していました。

 

 

具体的には『東大日本史赤本』『東大日本史青本』『鉄緑会日本史過去問集』です。
最も重要なことは、時間をかけた分析です。

一人の先生の解説と心中することなく、様々な解説・答案を検討し、自分の頭で考えて自分の最もよいと思う答案をまとめてみるという作業により思考力を養成することが大切であると思います。

以下に例を示します(煩雑な字で申し訳ありません)。

まず、論述用紙に自分なりの答案をまとめます下矢印
答案の下にあるように、課題文ごとに(論点が複数ある場合は論点ごとに)簡単な要約を作成します。
この時、単に要約するだけでなく、歴史的意義やほかの課題文との繋がりを考えることが重要です。



次に、複数の解説集の解説を読みます。

解答を読むのではなく、解説を熟読して先生がどのように論を追っているのかを考えて思考方法を吸収することを意識するよう推奨します。

その後、自分なりの完璧な答案をまとめ直します下矢印



最後に、各時代ごとの論述テーマのまとめを作成することを推奨します下矢印
東大は単なる政治史的な変化だけでなく、それに伴う社会・経済の構造的変化までを問うことが多く、論理関係がどのように成立しているかを記憶することは有効であると思います。
このような論理関係の体系的な学習については、塚原先生の『日本史の論点』を推奨します。



各時代の重要な論理を把握した上で、バイアスがかからないように意識しながら課題文にそった答案を作成することが大切です。

自分の知っていることを課題文の論理展開を無視して書いたり、知っている歴史用語を闇雲に使用しても何の意味もないということに注意してください。

 教材について(過去問集編) 
四角グリーン『東大日本史過去問題集』(野島先生)
僕がメインで使用した過去問集です。
noteで購入できますのでぜひ使ってみてください。

解説で思考の順序を示した上で、適度に歴史用語を用いた答案をまとめています。
答案自体は受験生が会場で再現するのは不可能に思われるほどに非常に高度なものですが、これをめざして勉強するのはとてもよいと思います。
関連するトピックをコラムのように解説している点、ほかの年度の類題を示している点など、体系的に学習するのに非常に役立つと思います。

四角グリーン『東大日本史 赤本』(塚原先生)
いわゆる一般的な「赤本」です。
執筆なさっている塚原先生は僕も授業を受けたことがあります。
論理関係の重視や、「問われたことのみに答える」という徹底した姿勢が特徴です。

受験生にも書きやすいように配慮したためか、歴史用語の使用を意識的に避けているような感触を受けました。
さらに、問われたことのみに答えているためか、表現が少し長いようにも感じました。
僕は野島先生の答案が自分の考えと大きく相違した際に参照していました。

四角グリーン『東大日本史 青本』(駿台日本史科)
駿台が出版している青本です。
僕が駿台でお世話になった福井先生が主に執筆なさっています。
答案に関しては多くの歴史用語を用いており、教科書には記載がないような特殊な表現を用いていることもあります。

受験生に再現するのは不可能であると思います。
解説が非常に詳しく、一問の解説を読めば関連する事項や同時代の時代背景を全て網羅できるように作られています。

四角グリーン『鉄緑会東大日本史過去問集』(鉄緑会日本史科)
鉄緑会で使用されている過去問集です。
非売品ですが譲渡などによって入手することができるかもしれませんので一応書いておきます。

解説はシンプルで、答案に関しては完全に山川の詳説日本史に準拠した形となっており、教科書以上の知識を絶対に使用しないという方針がとられています。
そのため答案は非常にシンプルで、最も重要な論点が平易な知識のみを用いてまとめられています。
鉄緑会が現役生を対象とした予備校であるという性質上、平易さに重点を置いた無難な教材であると言えます。

 教材について(過去問以外) 
四角グリーン『詳説日本史』(山川出版社)
高校で最も使用されているスタンダードな教科書です。
短く平易にまとめることを重視しているためか、読みにくいです。
また事実の記載が中心であり、東大に必要な論点の整理が一部なされていません(先述の教育勅語の問題点はその一例です)。

予備校の授業を受けるか、下記の『日本史の論点』を用いた論理把握の補強が必要だと思います。

四角グリーン『詳説日本史研究』(山川出版社)
詳説日本史の執筆メンバーが執筆しているより詳しいバージョンの教材です。
書店の一般書のコーナーに置いてあることもあるので、もしかすると一般向けの書籍かもしれません。

詳説日本史をかなり詳しくしたバージョンで、因果関係の説明もきちんとなされており、とても良い教材だと思います。
さらに学界で問題となっている論争などについてもコラムでまとめられており、面白く読めます。
分量が多く不要な知識も多いので余裕がある方だけで十分かもしれません。

四角グリーン『日本史の論点』(塚原先生)
赤本を執筆なさっている塚原先生の著書です。
入試でよく問われるトピックを、質問とそれに対する解答という形でまとめており、国立対策には必須と言っても良い本です。

何度も繰り返し読み返すことを推奨します。
東大でとりあげられたことのある論点もほとんど全て網羅されています。

 最後に 
様々に書いてきましたが、結局は自分でよく考えて、自分に最適な勉強法を見つけることが大切だと思います。
ぜひ野島先生の講座も活用して合格をつかみとってください!

 

 

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アタマの変貌を約束します。

 

 2024年度受験 

 東大教室・一橋大教室 

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 一橋大教室➀ 

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受験生の皆さんへ

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