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『謎とき日本近現代史』

1の問い
日本はなぜ植民地にならなかったか➀

 

 

ギザギザギザギザギザギザ

 

 暗黙の前提 

幕末・維新期を対象とした歴史小説などを読んだりした時に、

多くの人が、この第1の問いを心に思い浮かべます。


その背景には、暗黙の前提があるように感じられます。

 

暗黙の前提とは、領土の割譲(かつじょう)を強(し)いられ、

さらには国土が列国の勢力圏下に事実上分割されてしまい、

半植民地状態となる悲劇を味わった

近代中国(当時は清国)との比較です。

さらに、文字どおり日本の植民地とされた朝鮮との比較も、

暗黙の前提になるといってよいかもしれません。


したがって、第1の問いに少しだけ説明を加えると、

それは、同じく東アジアに位置していながら、

なぜ日本だけが植民地

あるいは半植民地的状態にならなかったか、

と表現しなおすことができるでしょう。


ここでいう半植民地とは、

戦争での敗北の結果、賠償の一部として、

国土のある部分が戦勝国に奪われてしまったり、

自国内にあるにもかかわらず

行政や司法の権限のおよばない地域(租界(そかい))が

いくつもできてしまったり、

といった状態をさしています。


中国は、日清戦争に敗退したのちの1898年、

中国分割を経験します。

これによって、ロシア・イギリス・ドイツ・フランスが

租借地(そしゃくち)を獲得し、

加えて中国大陸の大部分に

列国の勢力範囲が設定されることになりました。

 アプローチの方法 
 

さて、第1の問いに話をもどします。


このような疑問は、

偏見に満ちた答えを導きだしてしまう

恐れもあるからでしょうか、

教科書などでは

ほとんどまじめに論じられることがありません。


一方、というよりも、

だからこそ、というべきかもしれません。

中国や朝鮮の人々に比べて

日本の国民が優秀だったから

植民地化されなかったのであるといった、

検証しようのない、かなり差別的な説明を聞いて、

それに納得してしまっている人も少なくないようです。


ここでは、学問的に検証可能な方法で、

この問題にアプローチしてみたいと思います。


たとえば、国民のもつ政治的能力を比較するのは困難ですが、

国民を代表するものとみなせる、

国家レヴェルでの専門官僚の養成や選出の仕方などを、

国際的に比較してみることは可能です。


この観点から日本をながめると、

近代的な官僚制がいちはやく確立された事実を

歴史的に確認することができます。

 官僚制の確立 

一般的に、後進国が先進国に追いつくには、

政府を支えていく開明的な官僚を早期に育成することと、

自国のブルジョアジー(資本家)を

政府主導のもとで育成していくこと、

この2つが大切だと考えられています。


日本の場合、1880年代から、

帝国大学法学部において

官僚の育成がはじまっていました。

1890年代の後半には、帝国大学出身の官僚が生まれ、

1910年前後になると、

高等文官試験(高級官僚の採用試験)合格者が

官僚制の頂点を占めるようになっていきます。


これは、身分や出自(しゅつじ)や資産に関係なく、

才能に恵まれた者であれば、

公平な選抜をへて官僚になることのできるルートが、

大日本帝国憲法の発布(1889)や

第一回帝国議会の開会(1890)までに

誕生していたことを意味しています。


同様に日本では、

政府主導によるブルジョアジー育成も

はやくから開始されます。

1880年代に官営事業が次々に払い下げられ、

これにより、

政商は財閥へと発展する基礎をきずいていきました。

 

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