*問題は、「早慶大受験・正誤判定新研究108(問57)」で確認してください。
問57 正解は➍。
➍ 「抽分銭徴収方式」の部分が誤り。
選択肢の文章➊・➋にも記されているが、室町時代、各地に散在する御料所(将軍の直轄領)の規模が小さかったため、幕府は、年貢収入などだけで政権を運営することはできなかった。
このため、段銭・棟別銭、土倉役・酒屋役、関銭・津料、日明貿易の利益など、貨幣収入に対する依存度を高めていった。
1441年の嘉吉の徳政一揆にともなう徳政令の発布は、土倉・酒屋に壊滅的な打撃を与えただけでなく、土倉役・酒屋役を大きな財源としていた室町幕府にも深刻な財政難をもらたすことになる。
この状況に対して幕府は、分一銭徴収方式を導入して徳政令を乱発することで幕府財政を補おうとした。
分一銭とは、債権・債務額などの何分の一かの割合で負担する銭のことをいい、室町幕府の分一徳政令では、債権・債務額の1/10あるいは1/5を幕府に納入すれば、債権者の場合は徳政の適用を逃れ、債務者の場合は債務が破棄されるとした。
なお、抽分銭とは、日明貿易の際に室町幕府や細川氏・大内氏など勘合船の経営者が輸入品の国内売価の1割を貿易商から徴収した銭(一種の輸入税)をいう。