16-2 鎌倉幕府の性格

 

鎌倉幕府を支えた武士社会は、主従関係(しゅじゅうかんけい)というタテの結合の原理と、惣領制(そうりょうせい)という血縁(けつえん)にもとづく結合の原理を基礎としていた。

 

主従関係とは、主君と家臣とのあいだの、御恩(ごおん)奉公(ほうこう)の関係にもとづく結合をいい、幕府は、これを前提として御家人制(ごけにんせい)(将軍御家人)を形成した。

いいかえると,幕府が成立したことによって、源氏の棟梁(とうりょう)(鎌倉殿)と東国武士との私的な主従関係は、将軍と御家人という公的な主従関係へと転換したことになる。

 

 御恩

御恩には、本領安堵(ほんりょうあんど)新恩給与(しんおんきゅうよ)があった。

本領安堵は先祖伝来の所領(しょりょう)支配を確認すること、新恩給与は働きに応じて新たな所領を与えることをいう。

 

 奉公

奉公とは、戦時には身命(しんめい)を捨てて忠勤(ちゅうきん)に励(はげ)み、平時にも京都大番役(きょうとおおばんやく)などを務めること。

 

 御家人

幕府の首長(しゅちょう)である将軍と主従関係を結んだ武士のことを御家人という。

武家の棟梁である源氏や平氏の従者(じゅうしゃ)をさす「家人(けにん)」の語に、将軍に対する敬意の表現として「御」の字がついたものだと考えられる。

 

 惣領制

惣領制とは、血縁にもとづいて一族が団結する、武士の家の結合形態をいい、一族の長である惣領によって統括(とうかつ)され、所領は分割相続(ぶんかつそうぞく)された。

幕府は、原則的に惣領を御家人として組織し、武士社会全体を統御(とうぎょ)した。

 

御家人制と惣領制