歯科はEBMが成り立ちにくい分野なので
こんにちは。
歯を残す生涯のかかりつけ医 野地美千代です。
歯科医16年、開業13年のキャリアから、歯の健康を守るために必要なことをブログに書いております。
私が学生の頃、特に医科でEBM(Evidence-based Medicine)という言葉をよく耳にいたしました。
EBMとは、「根拠に基づく治療」という意味です。
そして、総合診療科というものが出来、全人的に人間を捉え、特定の臓器・疾患に限定せず多角的に診療を行う部門として、発展していきました。
部活の先輩で、当時、虎ノ門病院にてこれを担っていた医科の先生の講義をお聞きしたことがございます。
そこで理解したことの1つは、医科では多くの場合、病気の診断がつくと、治療法は大筋で確立していて、その治療を進めていく、ということ。
一方、歯科では、ある病態に対して、さまざまな治療法の選択肢があり、患者さんの意向もより強く反映することから、EBMが成り立ちにくいと教わりました。
例えば、歯が一本抜けた状態の患者さんの治療法には、
何もしない(歯の欠損をあえてそのままにする)というものから、ブリッジ、自家歯牙移植、インプラント、可綴性義歯、と、
患者さんの希望も強く反映することも相まって、どの治療法もある意味で正解になります。
歯が一本無い、という状態ひとつとっても、患者さんのかみ合わせや全身状態、歯に対する価値観など、様々を考慮する必要があります。
そのため、例えば、ある患者さんにはブリッジを選択しても、別の患者さんにはインプラントを選択する、ということになり得ます。
術者のスキルもとても大事な要素になります。
技術的なことはもちろんですが、それと同様に大事なことは、診断力です。
これだけ混沌とした選択肢がある中で、何も選ぶのか、これはどの歯科医師にかかるかで、だいぶ違って参ります。
訪れる歯科医院によって、治療は様々なんです。
当院では、まずご自身の歯とかみ合わせを最大限に保つことを考えます。
そして、最小限の治療介入で最大限の効果
が得られるような治療法をご提案しております。
これを可能にするために、日々、院内外での症例検討を地道に続けております。
スタディーグループに所属しているのは、治療の妥当性を常に問うている先生方と、日々研鑽するためです。
ご自身の歯を大切にしたい患者さんを、全力でサポートしております
。

今日もお読みくださり、ありがとうございました。