最近は胸腔鏡による手術が普及し、手術の後の痛みも楽になりましたが、

それでも手術の当日の痛みはそれなりにあります。手術中に入れていた胸腔ドレーンというチューブによる痛みもあり、胸腔ドレーンが抜けるまでは何らかの鎮痛薬を必要とすることが多いです。胸腔ドレーンが抜けるころには痛みもだいぶ治まっていることが多いです。

痛みのため深呼吸や咳がしにくくなって、痰が出せないと、肺炎、無気肺などにつながる場合もあります。
 術直後の痛みをコントロールするために、手術中から硬膜外ブロック、傍脊椎ブロック、肋間神経ブロックなどを行って、傷の局所の痛みを和らげます。

 気胸などの傷の小さい完全胸腔鏡下手術の場合には肋間神経ブロック、進行肺癌の開胸手術の場合には硬膜外ブロックを行うことが多いです。

 それに加えて全身の薬物療法として、初めは点滴で、オピオイド(フェンタニルなど)、NSAIDS( フルルビプロフェン(ロピオン)、アセトアミノフェン(アセリオ)など)で痛みをコントロールします。

 麻酔からさめ、数時間経過し内服可能となれば、NSAIDS(ロキソプロフェン、ジフェルビナク、アセトアミノフェン、セレコキシブ(セレコックス))や比較的痛みが強い場合には弱オピオイド(トラマドール)などの内服を行います。

 術後1週間以上経過して、神経痛のような痛みが続く場合にはプレガバリン(リリカ)を追加します。

 手術後長期間痛み止めを必要とする患者さんは1-2%程度と考えられます。

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