今日は会社の事務所にいる。
管理しているサーバーの様子が気になったからだ。

 

すこし室温が気になったので、一応本体に問題が無いか確認をして井上さんに報告しておく。

 

小さい会社なので高価な最新の機械ばかりは揃えられない。型落ちだけどまだまだ使えるものをうまく見つけて自社のネットワークに入れ込んでいくスタイルだ。

 

その分、リーズナブルにサービスを提供できる。

そこまで高速で高度な処理を求めていない需要家向けというわけだ。

 

本当にすごいものだと、電流ではなく光で処理を行うものが出てきた。

小型化が進めば、そのうちすべてその方式に置き換わるだろう。

 

電流は技術が使い古されているだけに確実だが、どうしても廃熱が出てしまう。光に置き換わるならそれが無くなるわけだ。

 

ただ、設備投資するにも一体いくらかかる事だろう。

ひとりのオタクとしてはぜひ一度この手で触ってみたいものだが、社長、いや会社次第かな。

 

それとも、少ない台数で需要をさばけてしまうようになってしまえばわたしも廃業かもしれない。

 

 

人間は大体何かをいつもやりすぎる傾向がある。

 

まだ自動化が主流ではなかった時代、特に日本では変化させなくても問題なく社会が回っていたために、下手に自動化をほいほい受け入れてしまうと、失業する人たちが大量に出てくる。

 

そして、それまでの仕組みでいい思いをしてきた人たちにとって、新しい技術さえ敵になり得る。

 

そういう意味では、しがらみが一切無い発展途上国の方が素直に導入しやすく、気づいたら最先端を走っているケースも珍しくない。

 

従来のやり方から変化をしたくないばっかりに遅れをとってしまい、気づいたら落ちぶれてしまっているというパターンだ。

 

何もしない事をやりすぎた。

 

先の大戦もおそらくはやりすぎた。

 

人間関係でもささいなことから、取り返しのつかない所にまでいってしまうことだってしばしば。

 

自動化ブーム、気づいたら何でもかんでもとにかく自動化すればいいという動きがかつてあった。

 

それは古くから従来の仕組みにこだわった人たちが相次いでこの世を去ったことから静かに始まったようだ。

 

経済面では大きなコスト削減につながったものの、結果の受け皿として社会が全く追いついておらず、多くの失業者であふれた。

 

これは個人納税者の急激な減少を意味する。

バランスが崩れたのだ。

 

ただでさえ、総人口の減少に加え、高齢者比率が増す中、自国産業でどこまで耐えられるかという流れになってきた。

 

ここで満を持して、ベーシックインカム制度が登場することになる。

 

 

お、井上さんが「部屋の室温を下げて様子をみてみようか」とのこと。

具体的に2、3℃下げてみることを報告し、コーヒーが飲みたくなった。

 

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この物語はフィクションであり、実際の人物や団体とは一切関係がありません。架空の創作物語です。

この作品は2024年2月5日にnote.comにて掲載したものです。