兎の眼/灰谷健次郎
実は(と言うほどもないけれど)2・3年前から、角川文庫のちょっくらぶに登録しています。
登録した当時はまだハッケンくんではなくディスカバーくんで、
ポイントと交換できるグッズも、今ほど可愛らしくなかったのですが
当時最も交換するのにポイントの要る賞が偶然私の欲しいもので、
とにかく角川文庫を読みまくったものです。
結果的にディスカバーくんグッズからハッケンくんグッズへの転換期までに
間に合わず、目的のキャリーバッグは手に入らなかったのですが。
その後気になった文庫本は買っておく習慣がついてしまい
とにかく積ん読している本が多い。
にもかかわらず夏の100冊等でスペシャルカバーが出てると、つい手にとってしまいます。
いかんいかん。また本が増える・・・
でも実家帰ってからだいぶ消費したからいいかな…?
そんな流れで買ってきたのが今回の
「兎の眼」
若い小学校教諭が、無口な少年鉄チンや、障害のあるみなこ
差別される立場にある塵芥処理場にくらす子供たち
と、様々な問題に立ち向かうお話です。
どうも普通の文学作品の割に風景描写が少なくて
会話文が多いなと思ったら、これ児童文学でした(笑)
でも、なかなかプロレタリア文学的な要素が強くて今時のお子さんは理解出来ないでしょう。
私も世代的には今時のお子さんなので、この作品に出てくる労働問題についてはぴんと来ません。
というか、ネット右翼というものが蔓延る現代に読むと
あまりにも「平等」を叫び過ぎていて、プロパガンダなのかな?と思ってしまう。
インターネットにどっぷり浸かって何年か経つので
ネットのニュースやまとめサイトを読むときはワンクッション置けるようになったと
自負していたのですが自信が無くなります。
この作品の意見をすんなり受け入れられないのは、
知らずのうちに思想が右に寄っているのか、平和ボケか
はたまた教育現場に関する悪いニュースを見過ぎなのでしょうか。
(と、思ってwikiで灰谷さんぐぐってみたら経歴がなかなか香ばしくry)
しかし、そういうジェネレーションギャップを感じる部分は置いといて
教師と生徒の触れ合い物語としては、かなりよくできていると思います。
小説なのに、ドラマの脚本みたいで金八先生並に熱いです(金八先生見たことないですが)
鉄チンが最初はよくわからない存在だったのに、
読み終わったときにはすっかり愛おしくなっているのがすごいです。
はっきりしたストーリーのある作品なのでネタバレするのも良くないし
興味のある人は読んでみては?とオススメしたいところですが
教員志望の人とかに薦めたら暴走しそうな危険な小説でもあります(笑)
うーん、なぜ今この本をプッシュしたのか角川文庫の意向が気になるところですね
全然本編と関係ないのですが
帯にある「タカラモノ」が実際金になりそうな現実的なネタだったのでワロタ