おはようございます!のいです。

 

今日は、津田雅美さん著「彼氏彼女の事情」です。

 

肥大化した見栄を張り続けるために

血のにじむ努力を続ける優等生、宮沢雪野。

 

不遇な生い立ちから親類を見返し

養父母が誇れる人になろうとする、有馬総一郎。

 

虚栄心の塊で、周囲にガラスの壁を作る二人が

出会い、理解し、やがて壁を取り除いていく

青春ストーリーです。

 

 

私が心に残っているのは2つのシーン。

 

まずは雪野が

「もう見栄を張るのをやめる!」

と宣言するシーンです。

 

作り笑顔ではなく、屈託のない笑顔で

宣言する雪野の姿にじーんと来ました。

 

まぁ雪野はその後しばらく仮面優等生を

続けるわけなんですが・・・・・・。

 

(芸人が書いた本に『マディソン郡の橋』の装丁を被せて読む、など。)

 

 

次に総一郎が実の両親と対面して、

心の壁が氷解するシーンです。

 

経験者として言いますと、

心の壁って凍り付いていたら厄介なもので、

力技でこじ開けようとすると壊れてしまうんですよ。

 

恋人の雪野に精神的支柱になってもらい、

養父母から前もって実父母の話を聞き、

葛藤の末納得して対面に臨んだのです。

 

用意周到、準備万端を徹底したわけですね。

 

心と心が向き合うにはこれぐらい必要なんや、

と学んだシーンでもありました。

 

 

作中いろんな背景を持ったいろんなカップルが

登場しますが、どれも高校までに積もり積もった

さまざまな課題に直面しています。

 

悩みの内容は自己表現や周囲の理解の薄さ、

不遇な育ちやコミュニケーションの取り方など

現在にも通じるところが多々あります。

 

20~25年前の作品ですが、読み返すと

現在の社会にも通じるところがあります。