おはようございます!のいです。

 

今日は、松岡圭祐さん著「万能鑑定士Qの事件簿 11」です。

 

非凡な論理思考を操るロジカルモンスター凛田莉子が、ロジカルシンキングを駆使して、

「国家機密である未発表の閣僚人事すら予想し的中させる」と話題の神主に立ち向かい、

そのカラクリを看破するストーリーです。

 

しかもこの神主、莉子が上京したての頃にお世話になった経営者の兄弟子にあたる男で、

兄弟子 vs. 妹弟子のロジカル・バトルが見ものです。

 

また本作ではさすがに言葉だけで機械的トリックを説明するのは難しかったようで、

シリーズ中唯一「予想に使う機械」の構造が図示されています。

 

これらの理由で、シリーズ中最も異例の巻と言えます。

 

それに輪をかけて異例と考えるところは、ロジカルな推理小説にあって、

ラテラルシンキングがキーワードになっているところです。

この神主さん、あくどい人ではなくて、さびれてしまった実家の神社を盛り立てるために

頭脳を駆使して「未来を予言する機械」を作り、「自分にかかれば未来の利益は思うがまま」と

権力者や金持ちに思わせることでお金を集め、復興した神社でまっとうな仕事をしています。

 

「未来を予言する機械」は莉子にカラクリを見破られ、インチキであることを非難されますが、

なにがなんでも成果を出して、商売を成り立たせることについては一歩も引きません。

もちろん、インチキはだめですよ。

 

物語終盤で神主の母親が訴えていますが、

「神社はおみくじでわくわくして、お守りや破魔矢などのグッズを買うところです。

 息子はテーマパークを作ったんですよ!」

 

神社はテーマパーク、という考え方には同意しました。

「まんがで身につく ずるい考え方」でも、ラストで主人公の実家の神社をインスタ映えから

人を呼び込んで観光地にする、という結論に至っていました。

復興の方法としては一理あると考えました。